＿泣き続けた夜 ページ36
Aside
まとまりの無い私の話をただ静かに聞いてくれていたふっか。
気づけば日は落ちて、夜になっていた。
誰にも言ったことのなかった、
1人だけで溜め込んでいた過去のこと。
思い出すだけでまた、
手がガタガタ震えて、首を絞められたみたいに苦しくなってくる。
『 ……今でも、っ、こわい、』
深澤｢ ……、｣
『 …また、…っひとりになっちゃうんじゃないかって、』
そう口にした瞬間、ふっかの手がふわりと私の後頭部に回って、そのまま抱き寄せられる。
気づけば私の身体は、ふっかによって抱きしめられていた。
深澤｢ …俺がいるから、Aは一人じゃない。｣
『 ……っ、』
深澤｢ そんな辛いこと、1人だけで抱えんな。｣
優しい声が耳元で聴こえる。
きゅっと握りしめていた胸元のシャツ、
トクン、トクンと響くふっかの鼓動が伝わって。
涙が溢れてくる。
深澤｢ …もう大丈夫だから。｣
心の中で何かが、崩れた音がした。
.
.
.
.
『 ……っ、たすけて、ふっか、』
これが、心からの叫びだった。
声を上げて、感情のままに泣いた
まるで小さい子供みたいに。
ふっかのシャツの胸元は、私の涙で濡れて
それでも涙は止まらない。
あの日以来、誰かの前で泣いたのは初めてだった。
本当はこんな風に、誰かに抱きしめて欲しかった、
本当は誰かに愛して欲しかった、
本当は1人になるのが、
怖くて怖くて仕方なかった。
それでも、錆びた鎖のように、
私の心に巻きついた罪の意識と大切な人を失う恐怖が
誰かに甘えることを許さなかった。
どんなに辛くても、どんなに苦しくても、
もう二度とあんな事がおきないようにするには
私がひとりになるしかなかったんだ。
涙でボロボロになった私の顔を、
ふっかの両手が優しく包んだ。
深澤｢ ちゃんと言えんじゃん、助けてって。｣
『 ……っ、ふっか、っ、』
深澤｢ ん、大丈夫大丈夫。泣きたいだけ泣きな？｣
頬をなぞってこぼれ落ちていく涙を、
ふっかの綺麗な手が優しく拭う。
ずっとずっと溜め込んでいたものを洗い流すように、
何十分も何時間も泣き続けた。
それでもふっかは文句一つ言わず、
ただ抱きしめてくれていた。
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あ - こんにちは。前回も楽しく読ませて頂き、また読みたいと戻ってきました🥺続編があったと思うのですが消してしまったのですか？とても素敵で大好きだったのでまた読みたいです😢❤︎ (7月15日 4時) (
レス) id: a40e2e0828 (このIDを非表示/違反報告)
にゃんこ(プロフ) - ぽむりんさん、こんばんは！もう新年度ですね☺️ぽむりんさんはいかがお過ごしでしょうか、、本当にぽむりんさんのお話が恋しくて何度も読み返しさせて頂いてます🫣笑 今日もこれからもぽむりんさんが幸せに過ごせますように😭💞 (2023年4月5日 23時) (レス) id: 9460f6545a (このIDを非表示/違反報告)
miku(プロフ) - 一気に読みましたが、読んでくうちに涙がぼろぼろ出てきて感動しました。素敵な作品を書いてくださりありがとうございました。 (2023年1月8日 9時) (レス) @page45 id: 9190d456fa (このIDを非表示/違反報告)
mil(プロフ) - 感情輸入して泣きました。まじ超大作です。いい作品に出会えてよかったです。 (2022年11月18日 6時) (レス) @page45 id: 5c38ee4561 (このIDを非表示/違反報告)
あやか(プロフ) - 久しぶりにぽむりんさんの小説を読みました。もう番外編を見れないと思うとすごく悲しいです。ふとした時でいいので戻ってきて欲しいなと思う時があります。苦しくて切なくてでも幸せでそんな小説がまた読めたらなと思っています。ありがとう。 (2022年10月15日 12時) (レス) @page45 id: 4114007d35 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぽむりん
| 作成日時：2021年3月26日 23時
