分断するJYP 2 ページ2
「オンニ、ねえ、どうしたの？！」
「、、、息が、、くるし、、、」
「胸は痛い？病院行く？？」
どくどくどくどくどくどく
「、、ない、、痛くは、、、」
「私を真似て息をして、！」
するとハヨンはすーとゆっくり息を吸い、長く深く息を吐く動作を目の前でみせた。
錯乱する中、彼女の呼吸のリズム一点に意識を集中させた。
自分の呼吸を、それにあてはめるように。
一体どれくらい経ったかはわからない。
私たちは台所の床の上で、しばらく一緒にその呼吸法を繰り返した。
すると息苦しさはいつの間にかなくなり、乱れのない元の呼吸に落ち着いた。
冬なのにどっと汗をかいている。
ハヨンはグラスの水を注いで私に渡した。
「すごいよ、ハヨン。
こんなことまでできるなんて。」
呼吸が戻り、ほっと安堵の胸をなでおろす。
対照的にハヨンは深刻な口調で語り始めた。
「オンニ、私ね。今ではこの業界に就職してるけど、
学生の頃は臨床心理学を勉強していたの。」
「そうだったんだ。知らなかった。」
私は水を喉に流し込んだ。
ハヨンは黙ってその様子を見ていた。
年末の大歌謡祭に向けた準備のため、今の時期のJYPではスタッフが総出。
特にハヨンは、年明けに控える6年ぶりのボーイズグループのデビューで、今が一番忙しい。
連日宿舎に戻らない生活が続いていた。
突然、彼女は私の方にしっかり体を向けた。
そして私の手をとり、自分の両手で包んだ。
「私が思うに、こういったことが本当は何度も繰り返されていたのなら、
それはちゃんと伝えたほうがいい。私以外にも、会社の誰かに。
発作かもしれないわ。」
「発作？」
「そう。"パニック発作"。」
私は表情を変えなかった。
彼女はそれを確認して続けた。
「そうじゃないと、この先も繰り返されて、もっと自分を苦しめることになる。
自然に治るのを待つことは難しいの。
ちゃんと助けを求めないと。
いまのオンニには、助けが必要よ。」
ハヨンは語気を強めて言った。
その眼差しは切実だった。
彼女の言葉こそ今の私にとって一番聞くべき助言だとは認識していた。
それでも、このとき私にはまだしっくりきていなかった。
ストレスはいまがピークであるはず。
だからこれは一過性にすぎない。
時間をかければ、私には自分でコントロールできる。
そうしないといけない。
そうしないと、ステージに立てない。
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作者名：クロワッサン | 作成日時：2020年9月12日 21時
