切っても切れない 1 ページ22
オペラ観劇の一週間前、私は会社でジニョンさんとミーティングをしていた。
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「おおAヤ。朝食は食べたか？」
私が部屋に入るとジニョンさんはヘッドホンを外し、餅菓子の包みを差し出した。
ジニョンさんのパソコンにはDAW(デジタルオーディオワークステーション)の画面が写っている。
「いま君が作った曲をアレンジしてたんだよ。」
ジニョンさんが音を再生する。
私の作った和音(コード)の構成が直されてる。こう変えるだけでこんなにメロディが強調されるんだ。
休符も増やされたことで混線していた音の出入りが自然になり、曲に引き締まりが出た。
インディーズ感のあった曲がすっかりアーバンテイストに仕上がっていた。
「すごい・・ぐんとよくなった。」
「Aは編曲のテクニックがまだ未熟なんだ。編曲次第で名曲になりそうなものはあった。」
「ほんとですか。」
「ああ本当だよ。ただし君の曲は複雑なものが多すぎる！
無意識なのか半音ばかり使われてるし、転調がやたら多い。
ジャンルもR&Bやジャズ調のポップかと思ったら、バロックポップやロック、カントリー、ラテンも入れてくる。
君はこの一年で自分のカラー見出せなかったのかと言いたい！」
怒られたのかと思って「すみません。」とすぐに謝った。ジニョンさんは笑った。
「だめだと言ってるんじゃない。むしろすごくおもしろいと思ったんだ。発想が豊かで。
こんなに転調が多くて複数のジャンルを融合させるのはね、まさに君のお父さんが築いてきたJ-POPの特徴でもあるんだよ。
Aは若くして日本を離れたし、僕と同じようにアメリカ音楽に傾倒してると思っていたけど、やっぱり君の中にはJ-POPの血が眠っているんだよ。
血のつながりだね。大したもんだよ。」
ジニョンさんが目を細めて嬉しそうに話すので、私はきまりの悪い気持ちになった。
「君の作った曲を聴いていると思い出したよ。
アキヨシさんの音楽を初めて聴いたのは中学生のときだった。
当時、韓国では日本の音楽を聴くことを禁止されていたんだ。だから闇市場のようなところで『My Revolution』を聴いたときの衝撃は大きかった。いったいどんな人がこんなすごい音楽を作っているんだろうかってね。
だから初めて会えたときはとても嬉しかったし、彼のオーラに圧倒された。緊張したけど話していくうちに僕たちはすぐ意気投合したんだ。
僕の音楽人生の中で君のお父さんとの出会いは、間違いなく運命だった。」
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なつ?(プロフ) - はじめまして！とても面白くて一気に読んでしまいました^^;続き期待しています！ (2019年10月31日 19時) (
レス) id: fc66c4ce63 (このIDを非表示/違反報告)
クロワッサン(プロフ) - Naishanさん» メッセージいただいていたのに、大変遅くなってすみませんでした。。この先を気になってくださり嬉しいです！本当にありがとうございます (2019年9月17日 22時) (レス) id: f77aa2c100 (このIDを非表示/違反報告)
Naishan(プロフ) - どうなっちゃうんでしょう…すごく先が気になります！ (2018年12月31日 20時) (レス) id: d333c1ee1e (このIDを非表示/違反報告)
クロワッサン(プロフ) - Naishanさん» コメントありがとうございます！！読んで待って下さる方がいることを知れて、とても嬉しいです(涙)更新がんばりますね！これからもよろしくお願いします:) (2018年11月29日 17時) (レス) id: f77aa2c100 (このIDを非表示/違反報告)
Naishan(プロフ) - 早く続きが見たいです！めちゃくちゃ面白い！ドキドキします。 (2018年11月29日 17時) (レス) id: d333c1ee1e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：クロワッサン | 作成日時：2018年11月5日 17時
