・ LIFE 229 ページ43
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・Aside
何となくその場の空気に耐える事が出来なくて逃げてきてしまった。
その足で来たのは優輔くんの病室。
丁度中では橘先生、三井先生の2人と向き合おうと優輔くんと家族3人で話し合っていた時だった。
橘「せめて理由を聞かせてくれないか?
お父さんに出来ないのならお母さん、井上先生でもいい。
お前の不安をみんなで解決してやりたいんだ」
優輔「お父さん、僕ね、前に学校で将来の夢っていう作文を書いたんだ」
橘「、うん」
優輔「お医者さんになりたいって書いた。困っている人がいたら、グイグイ手術してみんなを助けちゃうような、そんなお父さんみたいなお医者さんになりたいって。」
途端に“家族”っていいなと思った。
私には無い感情を思考を与えてくれる家族という存在が急激に羨ましくなった。
こんなの、初めて。
前までは感じたこと無かったのにと戸惑えば
優輔「……僕、お父さんが好きなんだ」
橘「ならっ、何でどうして移植を受け入れてくれないんだ」
何となく、その言葉の意味を分かった気がした。
優輔「お父さんが大好きだから
僕が心臓の病気になって、お父さんは変わった。
僕と同じ9歳ぐらいの子供が怪我したって聞くと詳しく調べたり新聞の隅に乗ってる子供の死亡記事を探したり。
……お父さんは他の子供が死ぬのを待つようになった。
今回移植してもうまくいかなかったら?また次の移植を待つ?…僕が死ねばお父さんは元のお父さんに戻れる。
僕の大好きなお父さんに戻れる。
……僕は移植を受けない。」
なるけど、優輔くんを縛っていたのはそれだったんだ。と察するに当たってそれがどういう事なのか。
……橘先生は医者としてあるまじき考えを持っていた。だけど家族のため。
愛する、────── 家族の為。
その考えが例え医者としていけない考えだとしても、家族の立場に…父親の立場になったら当たり前なのか。
人って、そんな簡単に動くものでもないし難しい生き物だ。
もし私にも父親とはっきり呼べる人がいるとしたならば、その気持ちを分かって寄り添うことが出来るのだろうか。
勇気を出して約束を守ってくれた優輔くんに“ ごめん ”と心の中で呟いて私はそっとその場を後にした。
──────最近の私は、逃げてばかりだ。
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あられ(プロフ) - 夢主と藍沢先生が結ばれるそういう作品にしてほしいです…続き頑張って… (2018年5月23日 19時) (レス) id: 1722f61193 (このIDを非表示/違反報告)
佐藤勝利LOVE(プロフ) - 頑張ってください これからも応援しています! (2018年5月13日 17時) (レス) id: 9db5a86e99 (このIDを非表示/違反報告)
キラあや - いつも、続き楽しみにしています!更新お願いします! (2018年5月11日 17時) (レス) id: bf70448eda (このIDを非表示/違反報告)
杏 - 続き楽しみにしています! (2018年4月22日 16時) (レス) id: ce7544d8fb (このIDを非表示/違反報告)
彩 - 更新されていて嬉しいです。これからも楽しみにしてます。 (2018年3月9日 7時) (レス) id: ed5c94d402 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ラベン | 作成日時:2017年12月7日 14時