= 036 ページ37
.
真っ白のドレスを身に纏い、鏡を見つめる。
7年間───
その年数はあまりにも長くて、でもあっという間で。
大好きな人と入れた時間は一年にも満たないくらい短い時間。
空白の7年間の方が、一緒にいた時間よりも遥かに長く、忘れられない。
なんでたったの3ヶ月だけで、7年間も待てたんだろう。
それが私にとって一番の深い謎。
だけど、どう考えても、剛典以外に彼氏なんか作りたくないって思ってた。
何かあれば剛典と比べていた。
剛典以外と手を繋ぎたくない。
剛典以外に抱き締められたくない。
剛典以外とキスをしたくない。
剛典以外に抱かれたくない。
剛典としか、未来を見たくない。
あぁもう、この気持ちに名前を付けるならそれはきっと、“剛典依存症”なのかな。なんて思ってたら、控え室のドアが叩かれた。
『どーぞ』
登坂「お、綺麗じゃん」
『TAKAHIROさんのお陰だよ。優しい人だね。やっぱり、剛典の職場の人にはいい人ばっか』
登坂「やっぱりってなんだよ(笑)」
『剛典が優しいから。……優しい人の周りには自然と優しい人達が集まるじゃない。
……臣みたいに、優しい人達で溢れてる世界なんだね』
登坂「まぁ……俺らだからな
つか、岩ちゃん呼びじゃなくなったんだな」
『だって……私も岩ちゃんになるから』
籍を入れて家に帰ってきたあの日、剛典こと、岩ちゃんに言われた。
───
『岩ちゃんと、夫婦なんだ…』
岩田「後悔してる?勢いでここまで来ちゃったけど」
『後悔なんかしてない。……岩ちゃんが大好きだから、幸せすぎるの』
岩田「じゃあ、……そんな岩ちゃんからのお願いです。」
『なんですか?』
岩田「結婚したってことは、Aはもう岩田です。」
『……岩田Aです、』
岩田「なので、岩ちゃんじゃなくて剛典って呼んでくれませんか?」
優しい笑顔でゆっくりと私に微笑んだ岩ちゃん……剛典は誰よりもかっこよくて素敵だった。
岩田「これからはAも岩ちゃんだよ。
病院とかでも岩田さんって呼ばれるようになる。
だから……剛典って、呼んでほしいな」
キュルルン、とでも効果音が付きそうな困り顔で私の顔をのぞき込むから私の心臓は爆発寸前。
『……剛典、』
岩田「A、」
『 「 愛してる 」 』
どちらともなくそう言い、ゆっくりと唇が合わさった幸せな結婚記念日。
.
597人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あっちゃん - すごくよかったです。本当にこうなればいいなぁと思いました。読むたびに感動して涙がとまりませんでした。 (2018年3月20日 21時) (レス) id: f83acd1f10 (このIDを非表示/違反報告)
チェリー(プロフ) - すごく切なくて心温まる話でした。臣ちゃんsaidも結婚後も見てみたいです!楽しみにしてます (2017年12月16日 22時) (レス) id: 2003420e41 (このIDを非表示/違反報告)
ayanalovedance(プロフ) - 最高です!!結婚後すごく気になります!!! (2017年12月16日 21時) (レス) id: 30d2492fd6 (このIDを非表示/違反報告)
momo(プロフ) - 結婚後すごく読みたいです!!キュン死しそうです! (2017年12月16日 18時) (レス) id: 0c4620f798 (このIDを非表示/違反報告)
ishrmy37(プロフ) - 岩ちゃんとの結婚後のお話も是非見たいです! (2017年12月16日 16時) (レス) id: c0d66834b3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ラベン | 作成日時:2017年11月30日 21時