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それから次の駅で降りて、駅員さんに事情を説明し、警察の方を呼んでもらった。
そこからは事情聴取やら犯人の受け渡しやらあり、相変わらず頭が追いついていない状態だったが、ずっとお兄さんも付き添ってくれていた。
全てが終わる頃には、既に日付も超え、終電もなくなっていた。
慣れないこと続きで体力も限界で、駅のベンチでぐったりとしているとお兄さんが水を買ってきてくれていた。
｢お疲れさん。しんどくない？｣
そう言って水を私に差し出してくれたので、大人しく受け取る。
『すみません、こんな夜中まで…』
｢気にせんでええよ、それに、お嬢さんの方がよっぽど大変やったし、怖かったやろうに…ようがんばったなぁ。｣
そう言うと私が怖がらないようになのか、しゃがんで目線を合わせてくれて、これでもかと言う程優しい笑顔を向けてくれた。
すると思わず今日の今までの鬱憤や恐怖心などの様々な感情も込み上げて来て、ぶわっと涙が溢れた。
『っ、すみません。なんだか、急に…！』
｢ええよええよ、無理ないわ。思いっきり出し切った方が楽になれるから。なんでも言うてみ？｣
なんて優しい言葉かけられたら、もう止まらなくてそのまま今日の最悪についてない出来事を、お兄さんに話していた。
優しく相槌を打ちながら聞いてくれるお兄さんに話していると、なんだか少しずつ心も軽くなっていった。
『…、ごめんなさい。こんな、見ず知らずの人の愚痴、聞かせてしまって…』
｢全然平気やで？…ほんまに災難やったなぁ…でも、今日そんだけ頑張ったんやから、絶対明日からはええ事しか起きんから！｣
"あ、もう日付超えたから今日か！"なんて付け足すお兄さんに、思わずふふ、と笑ってしまった。
｢…あ、今笑ったなぁ。…うん、お嬢さんは絶対そっちの方がかわええよ。｣
ふわりと微笑みながら言われ、トクンと胸が高鳴る。
｢さて、ほんまに今日は疲れたやろうし帰ろうか？タクシー呼ぶから。｣
そう言ってお兄さんは立ち上がり、タクシーを呼びに行く為、駅を出ようとしたのだが、1人になると思った瞬間、ぞくりとまた恐怖がぶり返し、咄嗟に手を伸ばす。
｢っ、え？｣
キョトンとした顔のお兄さんの顔を見て、自分がお兄さんの服の裾を掴んでいることに気がついて、驚いて手を離す。
『っ！あ、ごめんなさい。本当に助かって、あの、お礼したくて…名前だけでも教えて頂けたら、なんて…』
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作者名：シキ | 作成日時：2023年6月22日 15時
