最悪な日【正門】 ページ23
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_____今日は本当についていない。
朝、通勤の電車は30分遅延しており上司に睨まれるわ、会議のプレゼンで後輩が大事な書類を忘れカバーに入るも上手くはいかなかった。
お昼はその報告書に追われゼリーを流し込んだだけ、更には定時ギリギリに明日までの書類を任され残業せざるを得ない状況に…
やっとの思いで書類を完成させ、帰ろうとしたのだが、帰宅ラッシュの満員電車に巻き込まれてしまった。
______ああ、本当についてない。
満員電車の人に揉まれながら、1人ため息をつく。…一体私は、なぜこんな毎日を送るために必死で勉強してこの会社に就職したのだろうか。
良くない出来事が重なり、社会人2年目にして、絶望を感じている。
そんな時、下半身に違和感を感じた。
何だか、後ろの人の手が当たっている気がする。気の所為かと思ったが、カバンではなく、確かに意志を感じる動きをした。
その瞬間、全身にゾッと恐怖に包まれる。痴漢だと確信しているのに、逃げたいのに、何故か動けない。…怖い。
恐怖心で冷や汗や動悸が止まらない中どんどん手は動いていく。
なんて今日は最悪な日なんだ…神様に私はなにかしてしまったのだろうか。
何も出来ない自分に腹立ちつつ、半ば諦めかけて目をつぶった時、ガタッとした物音と共に、下半身への感触がなくなった。
｢はい、そこまで。アンタ、自分が何しとるかわかっとるん？｣
声の先を見ると、爽やかなお兄さんが私の痴漢の犯人の腕をガッシリと掴んで上に上げてくれた。力が入っているのか、犯人も"いたたたた"と声をあげ
｢お、俺は別にやってない！！だから手を離せ！｣
なんてしらばっくれている。そんな犯人に彼は携帯を出し。
｢アンタ、それは無理があるわ。さっきの全部動画回しとったから、たぶん一発で警察行きやで？やからくだらん抵抗なんかせんと、次の駅で降りるで。｣
と、素早く言ってのけた。犯人も諦めたように項垂れていた。注目を浴びていた車内では勇気ある彼の行動に拍手が送られていた。
すると、彼は照れくさそうに笑ったかと思うと優しい顔を私に向け
｢ごめんなぁ、お嬢さん。怖いやろうけど、次の駅で降りよか。俺も一緒に降りるから。｣
と言ってくれた。私はまだこの体験に頭がついて行かず、コクコクと頷くので精一杯だった。
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作者名：シキ | 作成日時：2023年6月22日 15時
