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｢これ、Aさんの写真…？｣
『そう、みたい…急に靴箱の中に入ってて…』
｢殆ど盗撮やん…やっぱり、気の所為やなくてストーカーはほんまに居るんやな。｣
ストーカーはいる。その事実が確定され、急に恐怖が込み上げてきた。体が震え出し腰が抜けてガクンと床に座り込みそうになり、咄嗟に道枝くんが支えてくれた。
『ご、ごめん道枝くん…急になんか、恐くなってきて…』
｢…大丈夫、俺がAさんの事守るから。｣
『え！』
まるで漫画の様なセリフにときめいてしまい、少し頬が熱くなる。そんな私を見てはっとした道枝くんは顔をぶわっと赤くさせて
｢あ！！ごめん！えっと…これは、その…｣
なんて動揺している姿が可愛らしくて、思わず笑ってしまう。
『ありがとう、道枝くん。嬉しい』
｢…え！？あ、えっと…がんばり、ます。｣
じわじわと幸せな気持ちが込み上げてくる。さっきまであんなに怖かったのに、今では少しだけストーカーに感謝している自分がいた。
それからというもの、写真が何度か靴箱に入れられている事もあり、恭平にも相談したところ、ストーカーは学校の人間ではないかという結論になった。
それからは極力学校内でも一人の時間を作るのを辞め、徹底的に注意していた。もちろん道枝くんも協力してくれて、必然的に一緒にいる時間が増えた。
私はどんどん道枝くんへの好意が膨れていき、一緒にいられる時間は幸せだった。
____しかし、そんな幸せは意図も簡単に終わりを告げる。
放課後、もしかしたら下駄箱に写真を入れている瞬間が見られるかもしれない。そう思い私はHRが終わった後直ぐに昇降口へ向かい、他学年の下駄箱で身を潜めていた。
すると、案の定誰かが私の下駄箱の前で止まった。恐る恐る私は自分の下駄箱をのぞき込む。だがその人物を見て、私は驚愕した。
『なに、してるん？________道枝くん。』
封筒を持って私の下駄箱を開けている人物は、紛れもなく道枝くんだった。
｢…あーあ、見られちゃってたか。｣
そう言った彼は別人の様で、いつも優しい笑みを浮かべた道枝くんは、どこにもいなかった。
｢俺、Aさんのことずっと好きやってん…四六時中、一緒にいたいくらい…恐がってるAさんも可愛ええなぁ、その顔は俺の前でしかせんのやろ？｣
__________心が、一気に冷えていく 。
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作者名：シキ | 作成日時：2023年6月22日 15時
