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「Aちゃん、ベッド着いたから下ろすな？」
そう言ってそっとベッドに下ろしてくれる彼。しかし私は謙杜の温もりが離れていくのが寂しくて彼の首に回した腕に力を入れる。
「Aちゃん…？」
『…もうちょっとぎゅってしてたい、だめ？』
「え！？」
普段なら絶対に言えないセリフも、お酒のお陰かスラスラと口から出る。そんな私にさらに動揺して真っ赤な顔をするかわいい彼。
「ど、どうしちゃったん！？Aちゃん！！」
『ふは、かわいい、謙杜。』
一向に腕を外さない私に観念したのか、そのまま謙杜もベッドに入ってくれる。そんな彼に嬉しくなってまた私はぎゅっと抱きつき、彼の胸に顔を埋める。
「うぁ…！なんなん？かわいすぎるってぇ…」
そう言って顔を手で隠すように覆い、上を向く彼。その姿が更に愛しい。
「いっつもしっかりしとるのに、なんかあったん…？」
『ん…お酒弱い後輩の分も代わりに飲んでて…』
「え！…も〜、そういうAちゃんの優しいとこ、ええとこやけど、自分の事も大事にせなアカンよ？」
真剣な眼差しでそう言ってくれるのが嬉しくて、さらに頬が緩んでしまう。
「う、かわい…やなくて！俺まじめに言っとるんやけど〜！？」
『ふふ、ごめん。でも嬉しくて…』
「っ…！！もぉ〜、ずるいってぇ」
と言いながら私をさらにぎゅーっと抱きしめ、足までホールドされる。
そんな彼に私も愛しさがこぼれ、顔を上に向け、すぐ側にある彼の顎にちゅっ、とキスをする。
すると驚いた彼がばっと下を向き、視線が重なる。
熱の篭った眼差しに、私の体温もさらに上がっていく。
「あかん、かわいすぎる…なぁ、おれのこと誘ってるん？」
『…あかん？』
「…な！？はぁ〜？！ここで関西弁はずるすぎるやろ！！」
と、わかりやすく赤くなる彼が可愛くてクスクスと笑っていると、齧り付くように唇を奪われる。
たまには酔っ払うのもいいな、なんて思いながらいつもより甘い夜を過ごした。
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作者名：シキ | 作成日時：2023年6月22日 15時
