I’m in love with you. (ページ15)

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「こんな苦いんすね、煙草って…」

『そうだね、最初は私も拓哉くんみたいに噎せてたよ。』

「俺はAさんみたいには吸えそうにないです…」

『ふふ、吸わない方がいいよ…忘れられなくなるから』

そう言ってまた口に煙草を含むAさんの横顔に、影が落ちる。
何だか悲しそうな気がした。

Aさんが煙草を吸うようになったきっかけは、なんやったんやろう…なんて、まあ、ちょっと予想はつくけど…

知りたいようで知りたくない。

「俺もいつか吸う日が来るんかな？」

『うーん、拓哉くんには、そのままでいてほしいかなぁ』

「え？」

『純粋な、綺麗なままでいてほしいなぁ』

ふわりと細められた瞳に、吸い込まれそうになる。

その瞳には、俺の気持ちも全て見透かされている様な気がした。

「俺は、綺麗なんかじゃ…」

そう言いかけた時、ふーっと俺に向けて煙を吹きかけられる。
少し煙たくて、また噎せてしまったが、Aさんの、甘い匂いでいっぱいになり、頭がクラクラする。

なんだか、俺とは住む世界が違うと線引きされた気分になった。

だがしかし既に手遅れ。貴方の事が知りたくてたまらないのだ。

「俺は、教えて欲しいです。Aさんのこと…貴方にもっと、近づきたい…」

そう言うと、困ったように眉を下げる彼女は

『私みたいになっちゃだめだよ。』

と言って、唇が緩く弧を描く。俺はそんな唇に釘付けになってしまう。

こうして俺は、貴方に溺れていく。