I’m in love with you. (ページ11)

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「おれでいっぱいになって？」【佐野】ページ11

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ちょうど日付が超える頃、私の携帯がプルルと震えた。
ディスプレイに表示されたのは愛しい人の名前。

『もしもし、晶哉？』

《あ、ごめん。Aちゃん？正門です。》

聞こえてきたのは愛しい彼ではなく、彼の所属するグループのメンバーさんの声だった。

『あれ、正門くん。どうしました？』

一度ばったり街で遭遇したことがあり、彼に紹介してもらった為、正門さんとは面識があった。

《晶哉、めちゃくちゃ酔っぱらっとって、俺ら二次会行くしでも1人で帰すの心配やし、悪いんやけど迎えに来てくれへん？》

『わかりました。今から行きますね？』

《良かった、ありがとうAちゃん。気ぃつけてな？》

そう言って電話を切った後、ある程度身支度を整えて送られてきた住所へ車を回す。

着いた場所はちょっとお高めの個室居酒屋で、入口には既に正門さんが立っており、"Aちゃん"と呼ばれ、右手を軽く上げてくれた。

『正門くん、お待たせしました。』

｢いやいや、こちらこそ急にごめんなぁ。最年少やのに止められんくて。｣

『いえ、きっと晶哉も嬉しかったんだと思います。大好きなメンバーさんとお酒が飲めるようになったこと。』

｢…はは、そうやなぁ。｣

そう言って正門くんは嬉しそうに笑った。こんな素敵なメンバーさんに彼は愛されているのだと思うと、私まで嬉しくなる。

正門くんの後ろをついて歩いていると、そういえば、と正門くんが口を開く。

｢他のメンバーがなぁ、晶哉の彼女にどうしても会いたいって聞かんくて、全員おるんやけど大丈夫？｣

『全然です。むしろご挨拶する気でいました。』

｢あ、ほんま？なかなか晶哉がメンバーに紹介したがらんからさぁ。Aちゃんが嫌なんかなぁって思てたわ。まあ、うちのメンバーってかなり賑やかやし。｣

『そうなんですか？特に私は何も。賑やかですよね、よくYouTubeを見てるので、なんだか緊張します。』

｢ふふ、そんな緊張せんでええよ。ほら、着いた。｣

"晶哉の彼女ちゃんがお迎えきたで〜"なんて言いながら正門くんが襖を開くので、一斉に視線が私に集中した。

個室の中には、画面の中で見ていた顔が並んでおり、本物だ…とつい感動してしまう。

『初めまして、晶哉くんがいつもお世話になってます。』

そう言うと"おおー！！"と一気に騒がしくなる個室。本当に賑やかな人達だなぁと関心していると、奥の方で机に突っ伏している彼を見つける。