I’m in love with you. (ページ1)

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常套句は聞きたくない【西畑】ページ1

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「あ〜ごめんなぁ…俺、今誰とも付き合う気ないねん。」

これは彼の告白の返事の常套句だ。この言葉を聞いた女の子はこの学校に果たして何人いるのだろうか。

_______彼の名前は西畑大吾。この学校の3年生で陸上部のエース。

整った顔面でいつも甘い笑顔を振りまき、学校中の女子生徒を虜にしてきた。所謂、王子様的存在だ。

そして私は彼の一つ下の学年であり、彼に恋する女子生徒のひとりだったりする。

きっかけはほんの些細なことで、入学当初に私が生徒手帳を落としてしまい、色々とまだ高校生活に不慣れでパニックになってしまった。

涙を滲ませながら日が暮れるまで校内で生徒手帳を探していた。

そんな時に息を切らして現れたのが、西畑先輩だった。

「やっと、見つけた…！これ、君のやろ？」

そう言って私の生徒手帳を手にしている西畑先輩。どうやら全校集会の時に、体育館で落とした所を見つけて走って追いかけたが見失い、ずっと探してくれていたらしい。

安心でさらに緩む涙腺を見て少し困った西畑先輩は

「ふふ、大丈夫やから。もう無くしたらアカンで？Aちゃん。」

と言って私の頭を撫でてくれた。見ず知らずの後輩の為に、全力で走ってくれたことに、そんな、些細な事で私はまんまと恋に落ちてしまった

だけど学校中の人気者な彼がこんな小さな事をおぼえていているはずがない。それからなんの関わりもない私は、遠くから彼を眺めるだけで幸せだった。

_________そんな先輩が、もうすぐ卒業する。

即ち今は告白ラッシュになるわけで…ただ、全員彼のお決まりの常套句で玉砕しているのだ。中には可愛くて有名な先輩などもいるのに…

そんな人たちでさえ西畑先輩と付き合うことが無理なんだから、当然私も確実に無理だろう。

だから私は告白なんてしない。

彼の口から常套句は聞きたくない。