ちょっと勘違いしてませんか？

し ページ4

「及川主将に質問です。斎藤さんの事についてどなたか先生方に報告はなさいましたか？」


「いや、してないね」


「やはり」と黒木は呟き、溜息を1つついた


「そうなると私を追い出すのは少し難しいかと」


「それは何でだ？」


他の部員退部たちも怪訝そうな顔をして黒木を見る



「皆さんはほうれんそうをご存知ですか？」

「そりゃあれだろ緑の野菜の」

「鉄分とれるやつ」

「おひたし美味しいですよね！」


「花巻先輩も松川先輩も金田一くんも違います。野菜でなく、社会常識でいう報告、連絡、相談の頭文字をとったほう・れん・そうのことです」


花巻や松川はなんとなくわかっていたようだが金田一は本当にわかっていなかったようだ


「天使かよ」とボソッと黒木が呟いたのを国見だけが聞いていた



「及川主将と岩泉先輩の超絶信頼関係という言葉をお借りするとして、それを私と先生方に当てはめるとします」


「俺はそんなこと思ってねえけどな」


「ちょっと岩ちゃん！？」


及川がぶうたれているのを無視して黒木は続ける


「何の疑惑もない状態で言われてもピンとこないわけです。及川主将や他の皆さんが今回で言うならその報告と相談を怠ってしまえば、急に言えば監督からすれば『何を言ってるんだ？』という反応になってしまいます」


「たいそう自信あり気に言うんだな」

「そりゃそれなりに信頼されてないと仕事できませんし。先ほどの例同様面談が長引く可能性もありますしね」


信頼、という言葉に及川は試合前にいつも言うあの言葉を思い出した


自分は、目の前にいるこのマネージャーにちゃんと目を向けていただろうか


ちゃんと話を聞いてあげられただろうか








「私を本当に辞めさせたいのなら、物的証拠があれば早いのです」

て→←い

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す