素直になれない私達 ページ18
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side YOU
私は一生1人で生きて行くと決めたのに、去年、結婚してしまった。理由は親が煩かったから。それと、孤独死が嫌だったから。
夫も夫で仕事人間だから、平日顔を合わせてご飯を食べることなんてまずないし、土日は寝ているかジムに行くかであまり2人の時間を過ごすことはない。
仮面夫婦？
そんなんじゃない。2人とも親を安心させるために利害が一致して結婚したっていうのはあるけど、一応同期で仲は良い方。でも忙しくて結婚式なんてあげるつもりもないし、そもそも私は結婚式にお金を使うくらいなら車や家を買いたいタイプ。
JM「 あれ、今帰り？ 」
「 ジュンミョナも？ 」
JM 「 うん。珍しく残業も食事もナシ。」
「 私も。お疲れ様 」
JM「Aも、お疲れ様。せっかくだしどっかで食べて帰る？ 」
「 そうだね。作るのも片付けるのも面倒だしね。」
周りに結婚の報告をした時は当然驚かれた。しかもこんな私達だから、2人とも独身貴族だと思われていたみたい。恋人期間もなく、同期という関係のまま夫婦になったものだから、なんとなくよそよそしいと感じているのに長年連れ添った熟年夫婦みたいだと言われる。
嫌いなわけがない。どちらかといえば好きだ。それが恋愛感情なのかはわからないけど。とにかく、一緒にいて心地がいいと思っているのは私だけじゃないはず。
他愛のない話をしながら歩いていると、突然彼が立ち止まった。
「 ジュンミョナ？ レストランはまだ先だよ？ 」
JM「 いや、ほら、僕たち籍を入れただけで何もしてないじゃないか。」
「 結婚式挙げたいの？別に良いけど日程の調整キツくない？」
JM「 … 気付いてた？僕たち、指輪も買ってないんだよ。 」
「 … あ、 確かに。 」
全く頭になかった。言われてみれば取引先の方や後輩から指輪をつけないんですね、って何度か言われた気が… アクセサリーは好きじゃないんです。とかアホみたいな返しをしたけど、よく考えれば結婚指輪のことだったんだ。
JM 「 行こう。予約の時間が迫ってる 」
「 入らなくていいの？ 」
会社からここにくるまでの時間で予約を取ったなんて驚きだ。ジュエリーショップの前で立ち止まった癖に、中には入らず私の手を取って再び歩き出した。
… 大きいわけではないけれど、ゴツゴツして、温かみのある手は彼の人柄そのものを表しているみたい。
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作者名：セナ | 作成日時：2018年9月19日 22時
