5 ページ5
.
「あ、あの。あと少しで着きそうですね、カフェ」
「そーだね、楽しみ」
ずっと私の指を撫でていた彼の手が離れ、少しホッとした。触れられた指がむず痒い。
そのまま歩きながら話し、目的のカフェに到着する。
店内に入るとカップルだらけで、羨ましいなと思うと同時に今隣にいる相手を思い出す。
変装してもイケメンさが隠しきれない加州さんが隣にいるのが信じられない。
「もう食べるもの決めたの?」
変に緊張してしまってこくこくと頷くことしか出来ない。座った席の両サイドは勿論恋人同士で、私達も周りからそう見られているのかもしれないと思うと落ち着いて居られない。
加州さんはどれにしよっかなーと言いながらメニュー表と睨めっこしている。
普通に考えて、大人の男性と女子高生がカップルというのはどうにも釣り合いが合わない気がする。なんだただの考えすぎかと冷静さを取り戻した。
「よし、決めた!」
店員さんを呼んで、各々決めたものを注文する。
「Aの家って門限とかある?」
「いえ、ないです。両親は好きに遊んで来いって言う人なので…」
「ふぅん、そっか。じゃあ夜も大丈夫だね」
「は、はい」
両親には、遊びに行くとは伝えたものの、男の人と行くとは伝えていない。というか伝えれるはずがない。
相手は有名俳優の加州清光なので、絶対に変なことをされる心配はないと思っている。
しかしやけに加州さんの笑みが深くなったことに少し怖くなり、この後はどうするのか聞こうとした瞬間に注文したものが届いた。
「わ、美味しそ〜」
「わあ……!」
結局甘いものの方に釣られて肝心なことを聞くのを忘れてしまい、2人で美味しく平らげてしまった。
店を出る前にお手洗いへ行って戻ってくると、既に加州さんが支払いを済ませていた。一銭も私から出させないらしい。カードを出している姿を見ると大人だなぁと少し羨ましくなる。
「んじゃ次は……」
そうだった、一体次はどこへ……
不安になっていると、加州さんに腕をガシッと掴まれる。
「…?」
彼が私の腕に自分の腕を絡ませ、より密着状態になる。加州さんの良い匂いがして少しドキドキしてしまう。
「次は、色々とショップ回りたいな」
私は頷いて、少し距離を離そうと腕を動かすが加州さんはしっかりと腕を掴んで離さない。
まさかこのまま行くの…?と恥ずかしさが募るが、彼の意志の固さにこちらが折れるしかなかった。
.
10人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
晴(プロフ) - 現パロめちゃくちゃ好きです…!完結まで是非応援してます!! (2022年5月2日 23時) (レス) @page3 id: f9289dccaf (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:目ん玉焼き | 作成日時:2022年4月27日 22時