六話 ページ6
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「善逸、鬼殺隊に入れたんだね」
先の叱咤から数時間、辺りが闇へと身を染めた夜、頭上には黒の中に深みのある青と紫の絵の具を零した様な空が広がっている。
ずっと寝ていた彼女だが普段と変わりはない、怪我を治すため安静にしていた善逸も例外ではないようで隣にちょこんと座りながら眠そうな素振りは見せない
奥からの淡い光が2人の背中を滲ませていた
「ま、ぁね。俺なんかが入れるとは思ってなかったんだけどさぁ…」
「腕に関しては何も心配してなかったけどねぇ、善逸は自分を卑下しすぎるところが問題だね」
「事実だし」
「見ようとしてないだけだよ、善逸は強くて優しいんだから」
善逸はふわぁ と大口を開けて欠伸をする彼女を見つめた、何時も細長く開かれた瞳が此方を向く。それは優しく暖かい金色だった、
善逸の中で風が吹き抜けるように昔の記憶が蘇る、じいちゃんと兄弟子と、彼女と、共に過ごした幸せな時間、修行は辛く厳しかったから、それだけは嫌だったのは内緒の話
「久しぶりに善逸の顔見れて良かったよ、炭治郎くんも伊之助くんと元気そ〜だし」
「あれ元気っていうの…?」
「んふふ、私もう行かなきゃ。今度皆の話聞かせてね」
よっこいしょと言う掛け声と共に立ち上がる沙耶、やはり柱となると忙しいのだろう 小さく欠伸をするついでに善逸の頭を優しく撫で姿を闇の中に消す
もう姿は見えない、しかし善逸の耳には確かに彼女の音が聞こえる。優しくて、掴み所のない けれど落ち着く音。ずっと聞きたかった、 これからも聞いていたい音。
猫のように酷く気紛れで 柱という身分の多忙な彼女にまた会えるだろうか、遠のく音に少し不安を善逸は感じる。
「はぁ…」
撫でられた箇所があつい、この暖かさも 憂いも 気持ちの正体も何となく彼には察しがついたいた
「ダメだなぁ」
まだ彼女と肩を並べるには程遠い、けれどその日を夢見て鍛錬に励む 何時か彼女を守れるような 夢を叶える、それが彼 我妻善逸が怯え震えながらも鬼殺隊に残る理由の一つだ。
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名無し92308号(プロフ) - フィンさん» わ〜ありがとうございます!猫っぽさを出したかったので嬉しいです!! (2019年6月16日 2時) (レス) id: b44a86193a (このIDを非表示/違反報告)
フィン - いつも楽しみに読ませていただいています!夢主、猫みたいで気ままでいいですね! (2019年6月5日 21時) (レス) id: 56d46f0764 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あむま | 作成日時:2019年5月27日 3時