二十七 ページ28
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『お姉さんが……』
「この毒はいざとなった時、その仇のためです。」
毒の入った瓶をおもむろに見つめる。
そう、鬼は…無惨さんだけじゃない。
彼らも大切なものを奪ってきたんだ。
『しのぶさん。恐らく、その鬼は《童磨》と言います。上弦の弐です。』
「!?会ったことがあるんですか!」
『…はい。彼は女性を好みます。しのぶさんも…鬼殺している人に向けて言う言葉では無いかもしれませんが、…とても危ない。ダメになってしまう前に、頼ることをお忘れなく。』
「…ありがとうございます。」
納得の意味か、承知の意味か。
私には分からないけれど、これ以上首を突っ込むのは私の役目じゃない。
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蝶屋敷の門で深々と頭を下げて、踵を返す。
『今日は色々と本当にありがとうございました。炭治郎と、不死川さんに…。御館様にも、よろしくお伝えください。』
「…ッ待ってください、」
『どうしました?』
片腕を捕まれ、振り返る。
「…また、会えますよね…?」
あぁ、困った。
別れ際にこんな顔をさせたくない。
『そんな顔しないでください、しのぶさん。貴女は柱なんですから、お強いです。私なんかより遥かに。』
「こんなッ、こんなの、もう会えないみたいじゃないですかッ!」
こんなにいい子を突き放す私の心も酷く痛む。
でも、彼女は仇をとるまで……。
『私に情を持ちすぎてはいけません。しのぶさんは、お姉さんの仇の事を考えて、振り返らずに。』
「……あんまりじゃないですか…それじゃあッ、私だって、Aさんが大切です、」
『なら、尚更。炭治郎に協力してあげてください。私の為にも。しのぶさんの為にも。必ず彼は成し遂げてくれる。』
そっと涙を拭い、抱きしめる。
こんなに華奢な体で、姉の仇を…。
『しのぶさんが…他の柱の方が…【炭治郎の柱になってあげてください】』
温もりを惜しみながら体を離し、しのぶさんから距離をとった。
せっかく拭ってあげたのに、また涙を流し、私に手を伸ばす。
「…ッ待っ!!」
『ご武運を。』
やけに大きく響いた琵琶の音と共に、また無限城に戻った。
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うぅ…しのぶさんを泣かせてしまった罪悪感(((
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入間(プロフ) - たくあんさん» 非常早いコメントで笑 ありがとうございます! (2020年4月27日 15時) (レス) id: faea9d84a4 (このIDを非表示/違反報告)
たくあん - 完結おめでとうございますゥ(´;ω;`) (2020年4月27日 15時) (レス) id: a353fd29dc (このIDを非表示/違反報告)
えむ(プロフ) - ありがとうございます!! (2020年1月19日 18時) (レス) id: 41deac151f (このIDを非表示/違反報告)
入間(プロフ) - えむさん» 初めまして。ありがとうございます!出来れば更新をもっと増やして行けたらなと思います! (2020年1月19日 17時) (レス) id: faea9d84a4 (このIDを非表示/違反報告)
えむ(プロフ) - 初めまして、突然すみませんこのお花とても面白くて大好きです!また宜しければ更新楽しみにしています! (2020年1月18日 20時) (レス) id: 41deac151f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:入間 x他1人 | 作成日時:2019年10月26日 23時