二十六 ページ27
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『炭治郎。君は、鬼の頭を、鬼舞辻無惨を滅するためにここにいるんだよね。本当は、その気持ち…私も同じなの。』
「でも、Aさんと鬼舞辻無惨は無関係で…」
私は静かに首を振った。
私はそっとお腹をさする。
途端、顔を真っ青にして上手く呼吸ができない炭治郎。
しのぶさんも察したのか、口を手で覆った。
『あの日、山宿で遭遇したのは鬼舞辻無惨です。私は、彼にあの夜会いました。お婆さんを殺したのも、彼です。』
生きているのが奇跡とでも言えたものか。
それほど彼は恐ろしい人だというのが、2人の目を見てわかった。
『私は彼の手中にいます。このお腹の子も正真正銘、…私と彼の子。』
「…なん……で…。なんで、よりによってAさんなんだッ!」
拳を握りしめ、涙を流す炭治郎。
『私は、今すぐこの子を殺そうとは思わない。でも、無惨さんが死んだら、きっと…この子も死ぬ。』
そっと鍛錬の証が染み付いた炭治郎の手を取り、ぎゅっと握る。
『だからね、炭治郎。絶対に無惨さんを殺して。そのために私とこの子を犠牲にしてでも。必ず。彼とこの子はこの世にいちゃいけない。この手で葬ってあげて。』
「俺はッ!!Aさんを犠牲にすることはできないッ!!!」
『優しすぎるのも毒となる。いつかその日が来たら…その時は、…君に頼みたいんだよ、炭治郎。』
「ッ…………わかり、ましたッ。」
『無惨さんのせいで、私のせいで、酷な事をさせてごめんね…』
「Aさんは悪くないです、絶対に。」
強い決意が籠った目に、私は安心する。
この子なら絶対に成し遂げてくれる。
また荷物を背負わせてしまうけど、いつかそれが叶えば、私がその荷物を全て受け持とう。
鬼によって、この世の悲しい思いをした人の分まで。
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炭治郎は本部に呼び出されたので、また部屋にはしのぶさんと二人きり。
話を切り出してきたのは、しのぶさんだった。
「Aさん。私は貴女を止めません。私も仇を打とうとしている身ですから。でも、無理だけはなさらずに。」
『本当に優しいですね、しのぶさんも。でも、しのぶさんこそ無理は厳禁ですよ。毒なんですから、それも。』
「……やはり気づいていましたか。隠し事が出来ないのは困るものですね。」
私の腰かけるベッドの隣に、しのぶさんは腰を下ろす。
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入間(プロフ) - たくあんさん» 非常早いコメントで笑 ありがとうございます! (2020年4月27日 15時) (レス) id: faea9d84a4 (このIDを非表示/違反報告)
たくあん - 完結おめでとうございますゥ(´;ω;`) (2020年4月27日 15時) (レス) id: a353fd29dc (このIDを非表示/違反報告)
えむ(プロフ) - ありがとうございます!! (2020年1月19日 18時) (レス) id: 41deac151f (このIDを非表示/違反報告)
入間(プロフ) - えむさん» 初めまして。ありがとうございます!出来れば更新をもっと増やして行けたらなと思います! (2020年1月19日 17時) (レス) id: faea9d84a4 (このIDを非表示/違反報告)
えむ(プロフ) - 初めまして、突然すみませんこのお花とても面白くて大好きです!また宜しければ更新楽しみにしています! (2020年1月18日 20時) (レス) id: 41deac151f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:入間 x他1人 | 作成日時:2019年10月26日 23時