夕日5(浅野学秀) ページ10
俺は浅野クンを外に連れ出した。浅野クンが口を開いた。
「知っていたのか……Aのこと」
「だから何だっての？」
「ふざけるな！なぜ……なぜ言わなかった！」
浅野クンは俺の胸ぐらを掴んだ。
「Aが言うなって言ったんだよ。Aの病気を知った俺以外誰も知らない。余命宣告されて、残された時間を普通に過ごしたいって。俺さ、Aに言ったんだ。浅野クンに言わなくていいのかって。そしたらAは頷いた。普段はあんな風だけど本当は優しいからって。もし浅野クンがそのこと知ったら気を遣うからって。生徒会で忙しいし、色々あるあんたの邪魔をしたくないって」
俺は怒りがこみ上げてきた。俺の胸ぐらを掴んでいた浅野クンの手を俺が掴んで離し、逆に浅野クンの胸ぐらを掴んだ。
「あんたさー……俺がAのことどうでもいいのかって聞いたとき、何も知らないお前が言うなって言ったよね……何も知らなかったのってあんたなんじゃないの？Aはあんたのこと知ってたから邪魔しないようにしてたんじゃないの？でもあんたは何も知らなかった。だからこのことも知らない。違う？」
「……！」
「俺さー……今マジでムカついてんの。わかるよね？」
俺は浅野クンを一発殴り飛ばした。
「Aはもう生き返らない。でも……Aが最後に遺してった」
俺は浅野クンにAの遺書を渡してその場を去った。
学秀side
僕は静かに立ち上がった。さっき赤羽から渡された封筒を開け、便箋を取り出した。
学秀へ
まず謝らせて。病気のこと黙っててごめんね。学秀のことだから怒ってると思うけど、私学秀には絶対言いたくなかったの。それは学秀が悪いんじゃない。学秀が優しいから。幼馴染で付き合ってるからわかるけど、学秀って小さい頃から優しかった。学校ではあんな風だけど、私は本当の学秀を知ってるよ。そんな学秀にもし病気のことを言ったら学秀は自分のことより私を優先して気を遣う。そう思ったの。だから言わなかった。学秀は生徒会長だし、周りからのプレッシャーもあって大変だと思う。だから私は学秀に話しかけなくなった。それが学秀のためだと自分で信じてたから。でも、今思う。一度でもいい。一度でもいいから、学秀に会いたい。話したい。学秀と一緒に下校したい。違うクラスでなかなか会えなかったけど、その時間を毎日楽しみにしていた。私が死んだら夕日を私だと思って。下校のとき私達を照らしていた夕日を。2人で見た夕日を。私がいつも学秀を照らすから。
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青葉 わかな(プロフ) - はるさきさん» ありがとうございます！感想と応援のお言葉をいただけると励みになります。更新のペースは遅めですが、更新するよう努力します！ (2018年5月2日 22時) (
レス) id: 8eec3ac39a (このIDを非表示/違反報告)
はるさき - 初めて読ませていただきました。カルマくんのところが特に…、応援してますね。 (2018年5月2日 18時) (レス) id: 3eeb183c96 (このIDを非表示/違反報告)
青葉 わかな(プロフ) - たこのライスさん» ありがとう！文才もクソもないけど…笑笑ほぼほぼ私の妄想の塊で業と学秀に至っては暴走だよね笑笑 (2017年12月16日 17時) (レス) id: 2a2fac34a3 (このIDを非表示/違反報告)
たこのライス(プロフ) - やっぱり良きや… (2017年12月16日 14時) (レス) id: c6b7c44c86 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：青葉 わかな | 作成日時：2017年8月25日 15時
