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「……はい、水買っておきました」
『ん、』
別に感謝をされるためにこの仕事をしてる訳じゃないけど、『ありがとう』の一つや二つ人間欲してしまう。
『ねえ』
「何ですか」
『目黒と何喋ったの』
「……は？」
『いや、何でその反応？』
いや、こういう反応にもなるでしょうよ。
「何で喋ったの知ってるんですか」
『……目黒が』
「目黒さんが？」
『やっぱいい』
「はあ？」
『いいから早く送って』
……ほんとなんなんだこの人。
もちろん嫌ですなんて言える訳もなく、荷物をまとめてさっさと歩いていく渡辺さんについていく。
歩く速度だって、やっぱり自己中だ。
「……あの、聞いていいですか」
『内容による』
「なんで、目黒さんと喋った内容なんか聞いてきたんですか」
シンプルな、疑問だった。
いつも人のことをガキ呼ばわりして、雑用をさせるだけさせて。
そんな彼が、何で私のことに興味を持ったんだろうと。
ただ、それだけだった。
『や、それはさ、うん、……迷惑かけてないかなってなるじゃん？』
「っ、は！？」
『うちのメンバーに余計な会話付き合わせたりしてたらさ、うん』
「目黒さんの方から話しかけてきたんですよ！」なんて弁明する気力もないぐらい、馬鹿らしかった。
「……渡辺さんには関係ないです」
『いや、は？』
「早く帰りたいんでしょ、さっさと駐車場行きますよ」
『あ、』
「今度は何ですか」
『……携帯忘れた』
「……取ってきたらいいんでしょ」
『や、俺が』
「先向かっててください」
『……ん、』
マネージャー、だから。
どれだけ気持ちを下げられようが、仕方ない。
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作者名：ざりがに
| 作成日時：2021年4月4日 1時
