5話 by紅月藍 ページ6
噂の公園にいる謎の生き物。それは確かに犬だった。しかし、普通の犬とは全く違う部分があった。
「耳が......4つ!?」
その犬には、耳が4つ、しっぽが2本もあったのだ。
しっぽだけならまだいい。猫又や九尾のキツネなど長く生き過ぎて妖怪化した例は数多くある。
ただ耳が増えるというのは聞いたことがない。我がオカルト部でも心霊スポットへ行くことはあっても伝承にない、マジ物を見るのは初めてだった。
気が付くと一ノ原先生以外は全員その犬(?)から距離をとっていた。そりゃあそうだ。人は誰しも未知のものとは距離を置く。
私も例外ではなく、あの犬(?)から約五メートルくらい離れていたしかし、先生は私たちとは対照的に微塵も慌てた様子を見せなかった。
初対面のころから思ってたんだけど、なんかあの人変わった雰囲気がするんだよねぇ....ポーカーフェイスというか常に仮面をかぶっているような不気味さを感じることもある
しばらくの沈黙の後、蓮見君が口を開いた。
「待て、色々待て。あの犬....らしきものに耳が四つあるように見えたんだけど」
「柊太にもそう見えるんだね?尻尾も二つ....私の見間違いじゃないんだ....」
「てかさ、なんで一ノ原先生だけやけに落ち着いてるの?」
もうわけがわからない。一旦外からの情報をシャットアウトして整理しないと....
「あら、あの子逃げちゃいました」
気が付くとあの犬(?)は逃げ出し、豆粒ほどに小さくなっていた。
「理解が追っつかないよ!」
オカルト調査部に入って丸二年、こんなに課外活動でてんやわんやな騒ぎになったのは久しぶりだなぁ....と現実から離れようとしていると、
鈴ちゃんが鳩が豆鉄砲を食ったような顔をして固まっていた。
見つめる先には、
彼女の家族がいた。
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作者名:新たな世界で参加者一同 x他7人 | 作成日時:2019年10月18日 18時