27話 by四辻 孝之 ページ28
「父さん！よかった、目を覚まして」
「春斗…なんで、俺はここに？」
「倒れていた父さんを、俺が運んできたんだ。大丈夫？」
「ああ、心配いらない」
なぜか重苦しい空気が漂う。話していいのだろうか？すると春斗が口を開いた。
「なぁ、父さん…なんで、母さんを殴ろうとしたんだ？」
え……俺が菫を？そんなはずはない。こんな嘘をつくのは、あいつしかいない。
「どうせ鈴蘭の担任が、言ったんだろう？俺は殴っていない！そいつが嘘をついてるんだ！」
「それはこっちのセリフですよ。あなたは嘘をついている。なぜかムキになってるのが、その証拠です」
みんながその意見に納得し、俺に疑いの眼差しを向ける。
「なんで、信じてくれないんだよ……」
俺はトボトボと森の方へ向かった。
もう誰も信じられない。誰が敵で、誰が味方なんだ……
「孝行さん…」
そこには犬吉がいた。
「犬吉…」
「はい、話聞いてました。皆さん判断力ないですね」「え？」
「絶対、孝行さんの方が真実言ってるのに、信じないなんて。あなたが菫さんを殴るはずがないじゃないですか」
「犬吉、信じてくれるのか…？」
「はい、僕はあなたの方を信じます。なぜかあなたといると、落ち着くんですよね。だから絶対僕の味方です」
「犬吉…」
こいつ本当いい奴だな……出来ることなら性格にふさわしい見た目にしてあげたいが、俺にはそんな力ないからな
「だから元気だしてください！」
「ああ、ありがとう」
「母さん！？」
そう呼ぶ春斗の声が聞こえ、俺は急いで向かった。
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作者名：新たな世界で参加者一同 x他7人 | 作成日時：2019年10月18日 18時
