20話 by一ノ原 玲花 ページ21
皆が散り散りになって探索している中、私は悠然と辺りを散歩していた。
前世で見た光景なのだ。探索をした所で、今更新しい発見などあるはずもない。
まあ、それはきっと私だけに言えた事ではないのだろうけど。
「____あら？」
少し離れた所に、鈴蘭さんの姿を見つけた。香山さんと蓮見君も一緒だ。
三人に向けて軽く手を振った。私がいる事にいち早く気付いたのは鈴蘭さんだった。
それから鈴蘭さんが他の二人の肩を叩き、私の方を指差して何か言った。すると二人は、彼女の指の方向にほぼ同時に視線を動かした。
私も三人の方へ歩を進めると、すぐに距離は縮まった。
「探索していたのね。ずっと歩いていると疲れない？」
私の問い掛けに、鈴蘭さんが答えた。
「はい、全然大丈夫ですよ！」
「そう？ たまには休憩してね」
その言葉に対して、香山さんが苛立った様子で反応した。
「先生がした事ですよね？ それなのに、何でそんな遠足の引率みたいな事が言えるんですか？」
「ふふっ。これは、貴方達の為なのよ。____それより、他の人達は？ どこかで会わなかった？」
「ああ、ええと、僕達は三人ずつのチームに別れて行動してたんです。他のチームがどこを探索しているのかは分かりません」
蓮見君が、比較的落ち着いた様子で答えた。
「三人ずつに別れたのは見ていたけれど･･････その後一度も会わなかったの____」
私が再び問いを重ねようとした瞬間だった。
「________おいっ！！」
「！」
突然背後から怒鳴り声が聞こえて、私は驚きと共に振り返った。
声の主は、鈴蘭さんのお兄さんだった。ひどく憤慨した様子で私の方へ歩み寄って来た。
「あんた･･････母さんに何をした！！ 母さんが消えたのもあんたの仕業なんだろ！？」
「え？」
何を言われているのか全く分からなかった。だが確かに、今やって来た人々の中に鈴蘭さんのお母様はいなかった。
それで、私が何かしたと思っているのだろうか。そうだとしたら、大きな誤解だ。私はこの世界に皆を連れてきただけで、後は何もしていない。
私が何も言えずにいると、お兄さんはまた怒鳴った。
「しらばっくれるな！！」
もしかして、敵国側の誰かの仕業だろうか。だとしたら誰が･･････。
「とにかく、私はその件には関わっていません。貴方の誤解ですよ」
何とか分かって貰おうとするが、お兄さんは尚も何か言いたげな顔をしている。
その時だった。
ズドオォォォン____！！
「____え？」
突然鳴り響いた爆発音に、誰もが動きを止めた。
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作者名：新たな世界で参加者一同 x他7人 | 作成日時：2019年10月18日 18時
