12話 by香山露乃 ページ13
「こんにちわー、遅くなりましたー……」
いつも以上に気だるそうに部室の扉を開け、中へと入っていく。
「あら、やっと来たのね。待ってたわよ」
一ノ原先生は昨日と同じように顔色も変えずにニコッと微笑む。だが、その笑顔に苛立ちを感じ、荷物を側にあった机の上に置き、一ノ原先生に詰め寄った。
「昨日の今日だって言うのによくもヘラヘラと居れますね、先生」
「あら……何か不満でもあったのかしら。私は必要だと思ったからやっただけなのだけど……」
「必要? あれのどこがですか。私達はオカルト部ですが、そういう面倒ごとには関わるつもりでやってるんじゃ無いんです。私達はただ普通の学校生活を送りたい、それを脅かすなんて……一体、先生の目的は何なんですか? 」
威圧的に一ノ原先生のことを睨みつけるが、先生は笑顔を崩さずにいた。
「目的も何も、私は味方を敵から助ける為にやった事よ。敵国側の転生者が私達の身近にいると思うと……不安で仕方ないでしょ? 私に突っかかってくるあたり、貴方が敵国側の転生者なのかもね」
プチンと何かがキレる音がし、拳を強く握りしめる。
「そうやって鈴蘭の家族も巻き込んで疑心暗鬼にさせて楽しいのかよ……最低だな…!! 」
「あら、私に挑むつもりかしら。貴方がボクシングをしてるのは知っているけど……魔法相手に、それが通用するのかしらね? 」
挑発的な態度に私は先生に殺意と憤怒を覚え、思わず一ノ原先生に向かって殴りかかる。
「ダメ!! 露乃!! 」
鈴蘭の声で我に帰り、拳を目前のとこで止める。
「鈴蘭……」
「今は争ってる場合じゃ無いよ。まだ私も信じられないけど……先生の言ってることが本当なら、争う事こそ敵国の思惑通りになっちゃうよ。
それに、露乃が先生を殴ったりなんかしたら、停学……最悪、退学もあり得るかもしれないよ?」
鈴蘭の話を理解すると、私は渋々ながらも拳を引っ込め、顔を伏せた。
鈴蘭の言う通り、殴ったりなんかしたら更にまずい事になる。衝動でやっても意味はない。
「……すいませんでした、一ノ原先生」
「良いのよ、香山さん。私も悪かったわね、挑発するような真似をして。貴方が敵か味方か確かめたかったのよ。
四辻さんもありがとう、貴方が香山さんを止めてくれて助かったわ」
「いえ……」
やっぱりこの先生、何か胡散臭い気がする。きっと何か裏がある、この笑顔はそう言う笑顔に違いない。警戒しとかないと……
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作者名:新たな世界で参加者一同 x他7人 | 作成日時:2019年10月18日 18時