恋に堕ちて

第11話 ページ11

隣で五条さんがショートケーキを
食べてるのを 羨ましく思いつつ、

大量に届いた郵便物の仕分けをして
パソコンに入力作業をしていると





" 倉木さん、 "




私を呼ぶ 女性の声がして

視線を移すと 同じ事務員の先輩が
こちらに向かって手招きをしていた。




「はい、」




立ち上がり、
その先輩の元に向かうと

甘い女性ものの香水の匂いが
つんと鼻を突く。



綺麗に巻かれた髪が
ふわりと揺れて

華奢な手が 前髪をかき上げた





『祖父が亡くなってね、
急いで帰らなきゃいけなくなって』

「そうなんですか、」





ご愁傷さまです。って言っていいのかな
どういう反応をすればいいのか 分からない。




『それで、申し訳無いんだけど
この仕事 頼んでもいいかな？』




私が言葉を発する前に

山積みの書類を一気に渡され、
思わずよろめく




「え、あ、はい」




思わず はい、と言ってしまったけど
これ、今日は確実に残業コースだな

でも、先輩も大変そうだし
仕事の後は特に予定も無い。




『ごめんね、ありがとう』



申し訳無さそうに両手を合わせるから
" 全然、大丈夫です " と作り笑いする他無かった。

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