隣の席の山田君は、私の事が嫌いなようで。

（３３） ページ33

貴『ほら口開けて、』



涼「い、いい！ガキじゃねぇんだから！！」



貴『早く』



涼「お前俺の話聞いてる！？」






珍しく焦った様子でそう言った山田君は

耳が少し赤く、目は泳ぎまくってる。



…うわ、超照れてるじゃん。

なにこれ激レア！！









貴『ほら、早く食べないと零れるよー』




そんな山田君が可愛くて、意地悪を少々。

口元で軽くスプーンを揺すってみる。











…すると、




しばらく視線を泳がせていた山田君が

何かを決心したように一度キュッと口を結んだ後









おかゆを、食べた。









貴『えっ』




そして、視線はやっぱり逸らしたままもぐもぐ。

…その耳はさっきよりも赤くなっていて









まぁその姿を見ちゃった私は勿論





ズッキューーーーーーーーーーン！！

ってなわけ。







もうなんつーの、心臓ぶち抜かれたっつーか

心臓もぎ取られたって言うのかな、これは。




とりあえず、冗談9割本気1割(←)でやっていた私には刺激が強すぎた。








貴『な…なな…っ』




涼「…お前が食えって言ったんじゃん」


貴『いやまぁそうですけど…！』




いやまさか、本当に食べると思わないでしょ！？

マジでびっくりした！！マジで心臓に悪い！！







けどさ…けどさ……

中毒性ヤバイよねこれ！！！←





なーんて考えちゃった私は、もう一回スプーンでおかゆを掬って…





貴『山田君、もっかい！！…あーn 涼「やるか馬鹿」



…無理でした。



くそぅ、小さい子みたいで可愛かったのに。












と、心の中で舌打ちしていると







涼「…それ、自分で食うから、寄越せ」




貴『え？……あ』







そう言って山田くんは、私が有無を言う間もなくひょいっとお茶碗を取りあげ

ベッドに座り直し、残りのおかゆを黙々と食べ始めた。







貴『……なんだ、食欲あるんじゃん。』


涼「……」




貴『美味しい？』



涼「……ん」



貴『そっか、良かった』






言葉では言ってくれなかったけど

「美味しい？」って質問にちゃんと良い反応してくれたから、作って良かったなって思う。



少しは知念くんに感謝しなきゃ、かな






















……それにしてもめっちゃ食べるな



数分前まで「腹に何も入れたくない」とか言ってたくせに。笑






まぁでも、いっぱい食べるのに悪い事は無いよね、うん。

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