48 ページ48
.
〜貴方 side〜
望くんがキッチンで洗い物をしてくれる間、
お姉さんとお話することになった。
最初は
絶対無理……！ って思ったけど
お姉さんから望くんの昔の話たくさん聞いているうちに緊張も解けて。
姉「でもまだ付き合ってないんやろ？」
『……そ、うですね』
姉「んふ。まあのの本命の子には一途やからなぁ。多分嫌ってくらい愛されるで(笑) Aちゃんいい子やから余計」
“嫌ってくらい愛される”
そんなの、無縁な人生だと思ってた。
スマホの画面に映るお姉さんは
すごく綺麗に笑う。
姉「今度2人で会いたいな」
『私も、もっと色んなお話したいです』
姉「んふふ。決まりやぁ、」
「なに楽しそうやん」
と、そこに
洗い物を終えた望くんが戻ってきた。
隣に座って、ビデオ通話に混ざってくる。
姉「んふふ。のの、いい子見つけたやん」
「せやろ？ むっちゃいい子」
姉「ちゃんと唾つけときやー？」
「おん(笑)」
そのあと30分くらい3人で話していたら
お姉さんの彼氏さんが帰ってきたみたいで、通話が終わった。
今日は1日で色んなことあったな……
「ごめん、疲れた……？」
『ううん。楽しかった。お姉さん優しかったし』
「よかった。お風呂沸かしたから入っておいで？
適当に着替え持ってくから」
『……お借りしていいの？』
「ええって姉ちゃん言うてたやん(笑)」
『……今度会えたら、お礼する』
「んふふ、そんなんいいのよしなくて」
そう話しながら、望くんに連れていかれるお風呂場。
好きな入浴剤を選ばせてくれた。
あと、お姉さんが使ってたシャンプーとかメイク落としとか出してくれたり。
『……ありがとう』
「ん？ ええんよ、こんくらい」
『……望くん、温かいね』
私はお風呂に入るとき、入浴剤なんて入れたことがなかった。
ましてやどの匂いがいい？
って選ぶことも。
美味しい夜ご飯を作ってくれる人も、
誰かとビデオ通話したことも。
なにも、なかった。
でもね、不思議なの。
“望くんみたいに家族から愛されたかった”
そんな風には思わない。
そう思う隙を与えてくれないくらい、
望くんがたくさん優しくしてくれるから。
『ありがとう』
私、すごく幸せだ
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 245人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ハルカ | 作成日時：2022年10月13日 5時
