愛していると、【桃】 (ページ34)

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～貴方 side～

5時半。

見慣れた高級車の助手席に乗り込むと
崇裕さんに優しく抱きしめられた。

落ち着く香りが胸を満たす。

濵「……ありがとう、来てくれて」

『……ううん、私も、崇裕さんに会いたかったから……』

濵「……ははっ、もう、そんなこと言わんでよ」

名残惜しく崇裕さんの体温が離れて行く。

……どこか、いつもと違う雰囲気の崇裕さん。

濵「……今日は、ドライブでもしよか」

『え……？』

珍しいことを言い出す。

ドライブなんて今まで1度もしたことがなかった。

ディナーとホテル。それだけの関係だったのに。

濵「ふふっ、なにぃ、嫌なん？」

『嫌じゃ、ないです』

濵「せやろぉ？ほんなら行きましょ」

柔らかい関西弁
ゆっくりと踏み込まれるアクセル。

見慣れた街なのに
この車に乗っていると、違う世界みたいに見える。

濵「なんかA可愛くなった？」

『え……？』

濵「表情がさぁ、柔らかくなった」

『いや気のせいですよ』

濵「ほんまかー？」

ちょうどその時赤信号で車が停まって
崇裕さんに顔を覗き込まれる。

……綺麗な、顔だな

そう思っていたら
ちゅ、と唇と唇が触れた。

そして崇裕さんは何事も無かったように
シートに背中を預けてハンドルを握り直す。

私は余裕たっぷりな崇裕さんを睨みつけた。

『……』

濵「んはは、なに、怒った？」

『……かっこよくて腹立つ』

濵「そんなこと言ったら、Aは綺麗すぎて腹立つわぁ。大学でもモテモテやろ？」

『…………大学の人は……、』

そこまで言って

言葉を飲み込む。

……大学の人は、

私の悪口を言う人しかいない。

…………小瀧くん、以外は

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