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〜貴方 side〜
他人に何を言われてもいいと小瀧くんは言った。
……でもやっぱり、
何もしていない小瀧くんが他の人に悪く言われているのが嫌で。
だから私は小瀧くんを避け続けた。
なるべく話しかけられないように
時には授業を途中退出したりして。
……でもそんな何日も避けられるわけがない。
「橋本さん、待って」
今日も授業が終わる5分前に教室を出た。
後ろの席から、音を立てないようにして出てきたつもりなのに
なぜか小瀧くんにバレて、追いつかれる始末。
『……なに』
「なに、やない。帰るの？ 一緒帰ろ」
『一人で帰る』
「話したいことたくさんあんねん」
『私はない』
「俺はある」
逃げ出したい。
私は小瀧の言葉を無視して背を向けた。
「……なあ！」
なのに、
また手を掴まれる。
「……この前の話聞いてたんやろ」
『……』
「…………俺といると、橋本さんが傷つく？」
『……どういう、こと』
「俺のせいで橋本さんが男子から変なこと言われて
それが嫌、なんよね」
『……別に私は、っ』
私のことを悪く言われるのは
なんとも思わない。
ただ、
小瀧くんが嫌な思いをするから＿＿＿＿
そのとき。
静かに、私のスマホが震えた。
掴まれていない方の手でスマホを取り出して画面を見ると
“崇裕さん”
の文字。
私はわざと小瀧くんがいるのに電話に出た。
『……もしもし』
�陝屐帖弔◆�A？ 今日会えたりする？」
『はい』
�陝屐帖弔舛腓辰帆瓩瓩鵬颪┐悗鵑�な」
『いいですよ。もう授業終わったので、いつでも』
�陝屬鵝�ありがとう。じゃあ5時半くらいに駅に迎え行ってええ？」
『わかりました』
�陝屬△蠅�とう」
一方的に電話を切られて
元の画面へと戻るスマホ。
「……だれ」
『……男の人』
「……そいつのとこ行くん？」
『……うん』
「行かんでって言っても、行く？」
『……うん、行く』
崇裕さん、だから。
小瀧くんは悲しげに眉尻を下げて
それからゆっくりと手を離す。
「……次は逃げんなよ」
『……』
「あと、自分のこともっと大事に、して」
『……小瀧くんに言われる筋合いない』
まだ何か言いたそうだった小瀧くん。
だけどそれに気づかなかったふりをして
私は正門へと足を進めた。
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作者名：ハルカ | 作成日時：2022年10月13日 5時
