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〜貴方 side〜
道中一言も話さず
ただただ小瀧くんの大きな背中を追った。
手を引かれるがまま
進んでいく街は、どんどん色が変わっていく。
……見慣れたくもないのに、見慣れてしまった景色。
ホテル街。
部屋に入って、ドアが閉まるなり
小瀧くんは静かに言った。
「……金出したら、ヤらせてくれんの？」
『っ、』
そういうところだ、ここは。
私ももう何度も来た。
小瀧くんは顔を見せてくれない。
「……ごめん、今は何もしない、から」
“今は”
「…………ごめん……シャワー、浴びてきて」
『……ん』
きっと、
他の男の人の匂いがするんだ。
私もこの匂いが嫌い
言われるがまま、浴室に向かってシャワーを浴びる。
趣味の悪い香水の匂いも
タバコの匂いも
全部全部
流して……
『……上がった、』
「……ん。俺もシャワー浴びてくる」
『ん、』
私は小瀧くんと入れ替わるように
ベッドの縁に座る。
間接照明しかついていない暗い部屋。
この後私は、抱かれるんだろうか
……それならそれで、いいかな
小瀧くんなら
……ううん
こんな汚い私、抱きたくないか。
つい数時間前まで他の男の人に抱かれてた、私なんて。
……じゃあなんで小瀧くんは私をここに連れてきたんだろう
……惨めだなぁ、
こんな、私
もう
汚すぎて
笑えてきちゃうよ
小瀧くんに
申し訳ないよ
ただ、
なんの音も立てずに
涙が流れる。
頬が濡れる
「……泣いてんの？」
うん、泣いてるよ
「……泣かんで、」
温かい
何かに
後ろから包まれて
小瀧くんの手に涙が落ちる。
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作者名：ハルカ | 作成日時：2022年10月13日 5時
