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〜貴方 side〜
ここな、綺麗やのに人少ないねんええやろ？
小瀧くんに連れてこられたのは
キャンパス内でもちょっと端の方にある、綺麗な中庭だった。
……初めて、きた。
3つだけ置かれたベンチも綺麗で
雑草も手入れされていて
過ごしやすそうな場所。
「食べよ？」
『……う、ん』
小瀧くんは私より先にベンチに座って、購買で買ったパンを広げ始める。
「はよおいで」
『……』
言われるがまま、私は小瀧くんの隣に座った。
「てか橋本さんそんなんで足りるん？」
『別に……』
私が持っている購買の袋には
野菜ジュースとグミ。
いつもお昼ご飯なんて食べてないから
むしろこれでも多い方。
「ほら見てみ。美味そうやろ焼きそばパン」
『……』
「ほら、ほらほら」
小瀧くんは匂いを私に嗅がせるように
焼きそばパンを近づけてくる。
『っ、うざ』
「ははっ、むっちゃ口に出すやん自分」
思わず汚い言葉が出たけど小瀧くんは気にしてないみたい。
焼きそばパンにかじりついて
「うんまー！」と声を上げた。
……表情豊かな人だな
『……楽しそうでいいね』
「おん。特に悩み事とかないしなー」
小瀧くんは優しい人なんだと思う。
こんなにひねくれた私に対して普通に……いや、普通以上に親切に接してくれる。
「恵まれてるなーって思うよ」
……いい人、なんだな
自分の状況を当たり前だと思わないで“恵まれてる”って認められるなんて。
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作者名：ハルカ | 作成日時：2022年10月13日 5時
