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〜小瀧 side〜
チャンスは水曜日。
講義が終わった瞬間、橋本さんを捕まえて一緒に昼飯を食う。絶対に。
「……で、時間だね。今回はこれで終わります。いつも通り来週までレジュメ埋めてきてください」
先生がそう言うのと同時に俺は教科書ノートをバッグに突っ込んだ。
ガヤガヤ騒がしい教室、俺は隣の席の友だちに「じゃーな」と言って橋本さんの元へ。
俺よりも前の席に座っていた橋本さん。
隣の席は、いつも通り空席。
「やっほ」
『……』
「なあ、一緒に昼飯食お」
「小瀧ぃ、橋本さん狙ってんの？」
「は？(笑)」
いきなり話しかけてきたのは、仲良いような他人のような微妙な距離感のやつ。
ニヤニヤしながらこっちを見ている。
「やめた方がよくない？ だって橋本さんさぁ、」
『っ、』
「別にお前らに関係ないやん。てかそういう陰口みたいなのいい加減やめたら？ 中学生かよ」
俺は橋本さんの手首をちょっと強引に引っ張って教室を出た。
……いっつも橋本さんのことヒソヒソ言ってたのアイツらやん絶対。
マジで幼稚。胸糞悪い
『……きくん、……小瀧、くん！』
と、イライラして周りが見えなかったのが
橋本さんの声で現実に引き戻された。
「……ぁ、ごめんなに？」
『……離して。小瀧くんとお昼ご飯食べないから』
立ち止まってそう言う橋本さん。
『……ねえ、離してってば』
「……嫌だね」
せっかく捕まえたのに、離すわけなくない？
俺は手首じゃなくて、橋本さんの手を握った。
所謂恋人繋ぎ。
「はい、行きましょー」
『……っ、ばか、なの？』
「ええやん、こんくらい」
『………………食堂には行きたくない』
「んーじゃあ購買でなんか買って外で食べる？」
『……人、いないところなら』
「はい決定。行くで、橋本さん」
橋本さんの手を引くと
案外すんなり着いてきてくれた。
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作者名：ハルカ | 作成日時：2022年10月13日 5時
