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〜小瀧 side〜
橋本さんをどうにかしたいと思いつつも、
運悪く話すタイミングが無いまま何日も過ぎてしまった。
避けられてんのかな
たまに授業来ないこともあるし。
“私に関わらないで”
なんて、漫画かドラマの世界でしか聞いたことないわ。
ほんまに言われることなんてあるんやな。
パンツのポケットに、あの時受け取った1万円札が入っている。
会ったらすぐに返せるように。
「……あ、」
……今日は運よすぎか
図書館の前に、橋本さん発見。
俺は駆け寄って橋本さんの手首を掴んだ。
「橋本さん」
『っ、……あ、こたき、くん』
「うん」
急に声をかけたから驚かせてしまった。
振り向いた橋本さんは、マスクつけてなくて
顔色もなんともないように見える。
けど念のためにおでこや頬に軽く触れた。
熱くない
『っなに、やめて、』
「あ、ごめん……体調大丈夫なんかなって思って」
『……大丈夫だから。話しかけないでって言ったよね？ もう離してよ』
そう言って橋本さんは手を振り払おうとする。
でも俺かて男。橋本さんの力に負けるわけがない。
ブンブン腕を振られながら
もう片方の手でポケットからお札を取り出して
それを橋本さんのトートバッグに突っ込んだ。
『……なに、っ』
「お金返したから話しかけてもええやろ？」
『……よくない』
なかなか振り解けないからか
橋本さんは諦めたみたい。
俺に掴まれた腕をだらんと下げて俯いた。
『……私に話しかけたりしない方がいいよ』
「なんで？ 俺橋本さんと友だちになりたいんやけど」
『どうせ同情でしょ。そういうのいらないから』
「なあLINE交換しようよ」
『……話聞いてた？』
「あ、じゃあ学部のグループから追加しとくわ。
休んでた講義の分のプリント送っとくね」
『っ、いらないってば』
「なんで。テストのとき困るで？」
頑なに拒否する橋本さんを
俺はわざとガン無視してスマホを操作する。
“A”
橋本さんのアカウントを見つけて追加。
「ブロックとかせんでな！？」
『……めんどくさ』
「ははっ、ええやんええやん」
よし、
多少強引だったけどミッションコンプリート。
「ほんじゃ、またな！」
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作者名：ハルカ | 作成日時：2022年10月13日 5時
