【A3 !】ヒガンスキ【兵頭十座生誕祭2017】 (ページ3)

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_____それから彼女に惹かれるのは、はやかった。

最初こそその想いに気付きはしなかったが、自覚すると一気に彼女への想いが心の中で溢れる。自覚するきっかけになったのは……摂津と一緒にいたAをみてなんとも言えないモヤモヤとした気分になった時だった。

「……テメェ、Aと何してたんだ。」

「はぁ……？んなの、どーでも良いだろ。テメェには関係ねーよ。其れともお前、Aの事好きな訳？」

「あ゛ぁ？」

「それならやめとけ。あいつは花学でも普通に人気高ぇし、何よりテメェには勿体ねえよ。」

部屋に戻ってきた摂津に問うて、俺を挑発するように言った発言が俺に想いを自覚させた。

それから。………癪ではあるが、摂津が放った言葉は的を射ていて。彼女に俺はどうしようもなく不釣り合いだと分かっていながらも、Aと話す度に想いは募ってしまう。

俺は、あいつが、Aがいい。ずっと俺の傍にいて欲しい。その優しさを、笑顔を、誰かに向けて欲しくない。

いつしか、団員と仲よさげに話す姿を見るだけで心の奥がムッとするようになってしまった。其れくらい、Aとの空間は居心地が良く、他の誰にもとられたくなかった。

そんな想いを抱えたまま、ズルズルと今日まで来てしまった。Aは今、忙しそうに朝食を作っている。

俺も男だ。そろそろ、この想いにケリをつけよう。

今日、いや、明日の千秋楽が終わったら想いを伝える。Aがどうせ、俺のことをそういう風に見てねぇのは分かり切ってることだ。

１つ歳をとったんだ。今日………と明日ぐれぇ大目に見てくれ。

なんて、言い訳をしながらAの作った朝食を頬張った。