桜の季節と、リノリウムの温度 ページ3
〜重岡〜
高１の始業式の日。
1番最初のホームルームで、
担任の石川 ひろこ先生が言っていた。
「渡良瀬Aさんは、中学な時から深刻な病気で入院しているんだそうです。早く退院して、みなさんと学校生活を送れるといいですね。」
教室には空いた席が一つだけあった。
中高一貫校のこの学校は、ほぼメンツも変わらない。
それでも、渡良瀬 Aを知る生徒はほぼいないという。
「発行病らしいぜ。」
「じゃあ、学校出てこれねぇな。」
「記憶にねぇわ。」
「誰か写メ持ってないのかよ。」
クラスの奴らが彼女の事を噂するようになったが、たいした情報もなかったらしく、すぐにおさまった。
発行病ならたしかに、学校に来ることは多分、
いやほとんどの確率で無理だろう。
それは、発行病が不治の病として知られていたからだ。
原因不明で、確立された治療法もない。
完治することはほとんどなく、大体の人が一生を病室で過ごすという。
成長が進むにつれ、病気は進行していき、
ある日突然発症する。
発症すると致死率は高く、10代のうちになると、大人になる前に死んでしまうという。
様々な症状がある中で、発行病でもっとも特徴的な症状が、皮膚に異常が出ること。
_______________光る。のだ。
夜、月の光に照らされると、体が蛍光色のように淡く、ぼんやりと、光るのだという。
それに、病気が進行するにつれ、光は増していく。
それによって発行病と呼ばれるらしい。
だから、彼女は学校にくるのは到底難しいだろうと思い、忘れた数日後。
僕の目の前に大きな色紙が来た。
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作者名：しげしげ | 作成日時：2018年8月21日 20時
