おやすみ また明日。【日向 翔陽】 ページ13
.
『おやすみ。』
そう言って家へ入ろうとする彼女。
その背中に向かって俺は今日もあの言葉を言う。
「また明日!」
君は顔だけ振り返って苦笑いしてみせる。
そして今度こそ家の中に入っていった。
それを見届けてから俺はしゃがみ込んだ。
「あー…、今日も言ってもらえなかった。」
一言で彼女のことを表すと、明るい。
笑顔でキラキラしていて少しだけヤンチャで。
無邪気なところが、またかわいい。
そんな彼女は、特定の人と関係を持つことを嫌がる。
きっと今日だって俺と帰るのが嫌だっただろう。
「明日の予約もできないなんてなぁ…。」
また明日。
その一言でさえ言ってくれない。
もう関わらないで、という彼女なりの意思表示なのか。
おやすみ。
その一言だけが俺に向けられる。
「……おやすみ。……また、明日。」
よいしょ、と立ち上がる。
俺が立ったタイミングで彼女の家のドアが開いた。
入り口に立っているのは、紛れもない君。
『……っ具合、悪いのかと思って…、』
「え?あ、しゃがみ込んでたから?」
こくこくと頷く。
心配してくれたことが嬉しくて、自然に笑顔になる。
「ごめん!自分の家の前で人がしゃがみ込んでたら不気味だよな!」
『元気なら、それでいいや…。』
「……ありがとう!」
俺の言葉に君は にこっ と笑う。
「バイバイ!」
『……おやすみ。』
あ。
なんとなく感じとった。
『……また明日。』
君と明日の約束が出来ることがこんなにも嬉しいなんて。
「Aー!!」
『ちょっ、人の名前を大声で言わないで!』
「また明日も一緒に帰ろう!」
『……何を今更…。』
.
やすいプレゼント。~Happy Birthday~【10/16】→←・2
13人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
迷人 - このお話、キュンキュンしかしませんね…。爽やか文章、羨ましいです。テイクアウト可能ですか…? (2015年8月15日 2時) (レス) id: 0a7f61b567 (このIDを非表示/違反報告)
虚弱兎(プロフ) - 新作おめでとうございます!!短編集とても素敵です!!爽やかな文体とよく似合いますね!!憧れます(>_<)更新、無理せず頑張って下さいね~!応援しております!! (2015年7月30日 22時) (レス) id: bf235a5d37 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:に ゃ 。 | 作成日時:2015年7月30日 21時