星の下の公園で。【東峰 旭】 ページ1
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もうどうでもいい。
こんな夜は星が見たくなる。
近くの公園に行けば、一匹の猫がいるだけだった。
『……あぁ…、綺麗だ。』
ぼそっと呟いた一言は静かな空気の中に消えていった。
綺麗な星の下にいると、心が落ち着く。
家に帰っても仕事一筋の親は私に目もくれない。
結局独り。
一人がどうしようもなく怖くなるとき、私は何をしでかすか自分でもわからない。
自暴自棄っていうんだろうか。
「……A…?」
聞き慣れた声。
名前を呼ばれただけで結構 安らぐ。
そんな私はすでに貴方がいないとダメな体質になったらしい。
『……こんな時間にどうしたの?……旭。』
旭の方を見ると、わかりやすく焦った顔をした。
見た目に合わず弱虫な旭。
それなのにこんな時間に出歩くなんて。
「……A、また寂しくなったんだろ?今日、学校でずっとボーッとしてたもんな。」
そんな、いつでも気にかけてますよ発言、やめてよ。
泣きたくなる。
私のことを見て、気にして、助けてくれる人がいる。
それだけで十分だから。
だから、
『…っそんな、やさしっ、顔で、っ見ないで…っ!』
これ以上、いらないから。
もういいから。
そんな顔で見られたら、もっと色々欲しくなっちゃう。
泣いてでも手に入れたいって思っちゃう。
「…A。俺らはさ、もう高校3年生なんだよ。」
『…う、ん。』
「もう、高校も卒業なんだ。」
その先の言葉は聞きたいような、聞いたらダメなような。
でも、旭は言ったんだ。
「これからはAのこと、一番そばで支えたい。だからさ、」
「Aの人生、俺に預けて?」
私こそ、旭の人生が欲しいです。
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迷人 - このお話、キュンキュンしかしませんね…。爽やか文章、羨ましいです。テイクアウト可能ですか…? (2015年8月15日 2時) (レス) id: 0a7f61b567 (このIDを非表示/違反報告)
虚弱兎(プロフ) - 新作おめでとうございます!!短編集とても素敵です!!爽やかな文体とよく似合いますね!!憧れます(>_<)更新、無理せず頑張って下さいね~!応援しております!! (2015年7月30日 22時) (レス) id: bf235a5d37 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:に ゃ 。 | 作成日時:2015年7月30日 21時