It’s Coming！ (ページ6)

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大平祥生 side

「はじめまして。京都府出身、17歳の佐藤Aです。よろしくお願いします。」

そう言いながら90度を超えるくらい腰を曲げて丁寧に挨拶するのは最後に入ってきた女子練習生の中でも一際目立つあの人だった

同じ京都出身で、僕より2個も年下なんだなんて思いつつ練習生最後のパフォーマンスをちゃんと見ようと座り直す

岡村「めちゃめちゃ緊張してるみたいやけど、大丈夫？」

矢部「水飲むか？」

「いえ、大丈夫です」

そう言う彼女の声は少し震えていて、多分ここにいる全員がホントに大丈夫なのか？と心配しただろう。でも

「パフォーマンスには、自信があります」

と、さっきの声とは違い、芯を持った声と自信に溢れた目に、僕は何故か強く惹き付けられる

軽くその場でジャンプをしてふぅ、と大きく息を吐き出し、後ろを向いて手を組んで音楽がかかるのを待つ

軽快な音が聞こえ、リズムに合わせてこちら側にターンした彼女の顔には溢れんばかりの笑顔

さっきとの表情の違いに戸惑ったのは僕だけじゃないらしく、横に座っていた聡くんや蓮くんも「おぉ、」と声を漏らした

そこからは、圧巻のステージだった。

正確で安定した歌声、指先まで計算されたダンス、なによりコロコロ変わる表情に凄く惹き付けられる

大平「これは、」

山田「A、だよね」

いつの間にか鳥肌が立っていた両腕を擦りながら、僕は頭の中に「佐藤A」と、彼女の名前を深く入れた

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