告白 ページ22
「君が、治してくれたのか___?」
再生した、右手をグーパーさせながら、夏油傑はAに問う。
「そうです!早く一緒に、逃げましょう。今なら、間に合いますから_____」
____反転術式は、体の傷は癒せても、心の傷は癒せない。
「私は、もういい。君1人で逃げてくれ。私といればAは………高専の人間に問答無用で殺されてしまう」
「嫌です。____貴方を置いていく、そんなこと出来ません!」
素晴らしい奇跡を、無駄にする訳にはいかない。
だが。粉々に折れた心は、神の慈悲さえも受け取ることは許さなかった。
「…君だけは、絶対に逃がしてみせる」
「_______どうしてっ」
魂から湧き上がるような叫びが、Aの言葉を遮った。
「どうして____だと?それは、私の台詞だ!」
「_____私は、大勢を殺している。血に塗れた大罪人だ。
それに___今日、私は君を置いていった。君が目の前に現れるまで、私は今日、Aの存在を、忘れていたんだ!
この際だから、はっきり言う。約束なんて、守る気は無かった。君が待つ家に、帰る気なんてなかったんだよ」
「それは_____」
「それに、私は」
夏油傑は、必死に、Aに嫌われるための言葉を連ねる。
「___君の母親も、殺したんだぞ」
「全部、知ってます。____それでも、貴方を愛する気持ちに、変わりはありません」
肉親が殺されたことに、何も思わなかったわけではない。
だが、そんなことがどうでもよくなるくらいに、彼の事が大好きだ。それだけだ。
血の繋がり以上に大切なものがある。それを教えてもらった。それだけだ。
「まだ、私に立ち上がれと。目標を諦めるなと。そういうことか?」
「____いいえ。違います」
この分からず屋に、自分の本音を、願望を、叩きつける。
「あなたは負けました。こてんぱんに」
その瞬間、静かな怒りが、2人の間を支配する。
「私に、引き返せと。私に諦めろと。どれほどの思いを、どれほどの願いを、どれほどの犠牲をこれに費やしたと思っている。
____猿は、皆殺しにする。術師だけの、世界をつくる
…もう、引き返す選択肢なんて残っていないんだよ」
「あります」
とびきりの、笑顔で続ける。
「私という、選択肢があります。」
「理想も、現実も、犠牲も、夢も、全部全部捨て去って。私の為に、生きてください。
人はいつからだって、生まれ変われる。だから、これからの人生を、私にください。私と共に、生きてください!」
思いを全部、言霊に乗せて、吐き出した。
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おるた(プロフ) - えとさん» 感想サンキューソーマッチです!!そうなんですよ……私も傑最推しなので……………最後まで読んで頂き、ありがとうございました! (2021年3月31日 17時) (レス) id: f5b2ddd409 (このIDを非表示/違反報告)
えと(プロフ) - 完結おめでとうございます!!!傑推しなのでこの作品に出会えて良かったです!!!推しが報われて本当に良かったなって思いました...!素敵な作品ありがとうございました! (2021年3月31日 16時) (レス) id: fd1beeb0fc (このIDを非表示/違反報告)
おるた(プロフ) - 終夜さん» 感想ありがとうございます(((o(*゚▽゚*)o)))めっっちゃ嬉しいです………ニヤニヤが止まらないです笑笑 (2021年3月30日 19時) (レス) id: f5b2ddd409 (このIDを非表示/違反報告)
終夜(プロフ) - アッ誤字ってしまった…。()友人にも布教させてください… (2021年3月30日 18時) (レス) id: be63cd896a (このIDを非表示/違反報告)
終夜(プロフ) - 完結おめでとうございます…。本誌の夏油傑が報われなさすぎて絶望しかなかったけど、こんな素晴らしい小説に出会わせてくれてありがとうございます…!推しが報われない→夢主投下。天才が此処にいた。年末の映画までリピート読まさせて頂きます…!! (2021年3月30日 18時) (レス) id: be63cd896a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おるた x他1人 | 作成日時:2021年3月25日 20時