帰路 ページ3
「おっ。今日は満月だね。お月様がまんまるだ」
夜8時。活動の拠点として利用している社寺を後にし、夏油傑は帰路についた。
「まんまるって。夏油様可愛い」
そしてその彼の横を歩くのは、制服を着こなした女子高生2人組_____まぁ、実際に学校に通っている訳ではないのだが。
美々子と、菜々子だ。
雑談を交わしつつ、彼女たちを安全に家まで送っていく。
「この辺りは猿が多いからね」
そして、夏油を除く家族が共同で暮らすアパートに辿り着いた。
2人は、夏油との別れを惜しむように夏油を見る。
「また明日、会えるんだから」
「でも家族は、一緒に住むものでしょ?
_______Aばっか、ずるい」
夏油はAの名前が出てきた事に苦笑し、そして2人の頭をぽんぽんと撫でる。
「そういうのじゃないよ。____うん。極力、猿の手は生活に借りたくなくてね。家族に不便な暮らしを強制する訳にはいかないだろう?」
「そ、それはそうなんだけど〜。今夏油様、変な間があった」
「ははは、気のせいだよ。_____決戦の時は近い。2人とも、夜更かしして体調を崩さないように」
「「は〜い………」」
2人してむくれる美々子と菜々子を後に、夏油は自身の家までの路についた。
「…あまり、家族に差をつけたくはないんだけどな」
2人から十分に離れた事を確認すると、夏油はぼそりと呟いた。
『呪霊の生まれない世界を造る』
高専も、唯一の親友も。実の両親すら裏切って推し進めてきた計画。
積み上げてきた、多くのものを失った。
必要な犠牲だと、その大部分を割り切ってきた。
自分がこの計画を完遂することが、自分が切り捨ててきたこと達全てへの贖罪でもあると思って生きている。
そして、どうせ棄てるのならば、と大切なものを極力増やさないようにして行動してきたはずなのに。
Aの顔が思い浮かぶ。
「どうしてだろう」
愛する心はまさに、呪術師ですらコントロールできない呪いだと思う。
住宅街を抜け、人の___猿の気配が薄い場所にぽつんとその家はある。
築何年かはよく知らないが、それなりに建てられてから時間が経っていると思われる家へ。
「ただいま」
「____おかえりなさい!」
Aの待つ、家へ。
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おるた(プロフ) - えとさん» 感想サンキューソーマッチです!!そうなんですよ……私も傑最推しなので……………最後まで読んで頂き、ありがとうございました! (2021年3月31日 17時) (レス) id: f5b2ddd409 (このIDを非表示/違反報告)
えと(プロフ) - 完結おめでとうございます!!!傑推しなのでこの作品に出会えて良かったです!!!推しが報われて本当に良かったなって思いました...!素敵な作品ありがとうございました! (2021年3月31日 16時) (レス) id: fd1beeb0fc (このIDを非表示/違反報告)
おるた(プロフ) - 終夜さん» 感想ありがとうございます(((o(*゚▽゚*)o)))めっっちゃ嬉しいです………ニヤニヤが止まらないです笑笑 (2021年3月30日 19時) (レス) id: f5b2ddd409 (このIDを非表示/違反報告)
終夜(プロフ) - アッ誤字ってしまった…。()友人にも布教させてください… (2021年3月30日 18時) (レス) id: be63cd896a (このIDを非表示/違反報告)
終夜(プロフ) - 完結おめでとうございます…。本誌の夏油傑が報われなさすぎて絶望しかなかったけど、こんな素晴らしい小説に出会わせてくれてありがとうございます…!推しが報われない→夢主投下。天才が此処にいた。年末の映画までリピート読まさせて頂きます…!! (2021年3月30日 18時) (レス) id: be63cd896a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おるた x他1人 | 作成日時:2021年3月25日 20時