渇望 ページ20
「______っ！何あれ？」
遅れて、湧き上がる爆風。
その直撃を受けて、Aの体が浮き上がりそうになる。
近くで巨大な爆弾が爆発したごとき威力。
Aに分かるのは、その呪力の質が人間のものではなく______呪霊のものだということだ。
あの衝撃を間近に受ければ、いくら特級といえどただではすまないだろう。
胸を急き立てる焦燥感のまま、走る。そして。
……血の臭い。
自分のこの体質のおかげで、血に対する嗅覚だけは、非常に優れていた。
_____ぴちゃぴちゃ、ぴちゃぴちゃ。
風にのって来る血の臭いが、いっそう濃くなる。
辿って辿って______そして、見つけたのは。
「は_________________」
頭が真っ白になった。
どういう、こと。
目の前の現実を、視覚情報の解析を、必死に脳みそが拒否しているのが分かる。
そこにいたのは、右肩、いや、右半身を抉り取られ、力なく壁にもたれる、夏油傑の姿だった。
「すぐ______________」
為す術もないまま、呼びかけようとした、その時だった。
「___遅かったじゃないか…悟」
、
、
、
「どうして______どうしてなんですか!!」
彼はもう、五感が鈍ってしまうほどに、弱りきっている。
だが、それを心配する以上に。
「どうして、私の名前じゃないんですか____っ！」
死に際の窮地。その時出てくる言葉が、彼が一番に思いあたった人間が、私ではなく五条悟だったことにどうしようもなく、腹が立った。
抑えきれない涙が、ぼたぼたと地面に落ち、しみを作る。
「____なんで、君が。いや、愚問だな」
どうしてそんなに、死にそうな、満足して死にゆくような、そんな顔をしているのか。
「いやっ。死なないで、お願い…………」
どうして自分はこんなにも、無力なんだろう。
「______すまない。君をまた、一人にしてしまう」
彼の声はだんだんと、かすれ、小さくなってゆく。もう目も耳も、機能しているかさえ怪しい。
待って。待って、待って欲しい。
まだ何も_______何もしてあげられてない。
何でも貰ってばっかで、身勝手に甘えて、私はそれっきりだ。
あの日、私は、傑に全てを救われた。
その日までに身に刻まれた、吐き気を催すような酷い苦しみも、周りの人間に理解されなかった鋭い痛みも、全部全部、浄化され尽くされたのだ。
あまつさえ彼は、自分本位の恋心さえ、受容してくれた。
______この上なく、救われた。
「だから、私も、傑を救いたいの。貴方を、幸せにしてあげたいんだよっ」
悲痛な叫びが、高専の敷地にこだまする。
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おるた(プロフ) - えとさん» 感想サンキューソーマッチです!!そうなんですよ……私も傑最推しなので……………最後まで読んで頂き、ありがとうございました！ (2021年3月31日 17時) (
レス) id: f5b2ddd409 (このIDを非表示/違反報告)
えと(プロフ) - 完結おめでとうございます!!!傑推しなのでこの作品に出会えて良かったです!!!推しが報われて本当に良かったなって思いました...！素敵な作品ありがとうございました！ (2021年3月31日 16時) (レス) id: fd1beeb0fc (このIDを非表示/違反報告)
おるた(プロフ) - 終夜さん» 感想ありがとうございます(((o(*ﾟ▽ﾟ*)o)))めっっちゃ嬉しいです………ニヤニヤが止まらないです笑笑 (2021年3月30日 19時) (レス) id: f5b2ddd409 (このIDを非表示/違反報告)
終夜(プロフ) - アッ誤字ってしまった…。（）友人にも布教させてください… (2021年3月30日 18時) (レス) id: be63cd896a (このIDを非表示/違反報告)
終夜(プロフ) - 完結おめでとうございます…。本誌の夏油傑が報われなさすぎて絶望しかなかったけど、こんな素晴らしい小説に出会わせてくれてありがとうございます…！推しが報われない→夢主投下。天才が此処にいた。年末の映画までリピート読まさせて頂きます…！！ (2021年3月30日 18時) (レス) id: be63cd896a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おるた x他1人 | 作成日時：2021年3月25日 20時
