焦燥 ページ16
肌を刺すような、厳しい寒さの朝だった。
隣に寝ていたはずの、傑はもういない。
「昨日は、その、なんていうか凄かったなぁ………。男の人って、その、うん………」
昨日の夜の“はじめて”を思い出し、顔が火照る。
だからこそ、広いベッドの中、ぽつんと私がいるのが、あまりにもさみしくて、涙が出そうになったけど、何とかこらえる。
「___行っちゃったんだ」
おはようのキスも、行ってきますの声もなく。
彼は覚悟を決めたんだ。
私も、彼を信じて待つのが正解なのだろう。
結局、百鬼夜行には参加しないことになった。
でも、当日ともなれば、やはり話は変わってくる。
ごめんね、傑。私絶対、邪魔だけはしないから。
____作戦の内容だけは、知らされていた。
朝ご飯をかきこみ、素早く着替え______そして武装用のナイフを携帯する。
呪具でもないただのナイフだが、切りつけて少しでも血が付着すれば、こちらの術式は発動できる。
術師相手の戦闘経験はほぼ0だが、小娘相手と油断してくれれば逃げるくらいの隙は作れるかもしれない。
そんな危険な賭けに出るほど、Aの胸中は、妙な胸騒ぎでしめられていた。
_______駆け出す。東京都立呪術高等専門学校へ。
彼の思い出が眠る、あの場所へ。
*****
________同時刻。
東京、新宿。
あらかじめ、非術師の存在は嘘の警報で完全にはけられている。
そんな無人の東京を、数多の魑魅魍魎が跋扈する、異常事態。
同様の状態が、京都でも起きている。
_______驚くべきは、そんな地獄絵図が、たった一人の特級呪詛師によって描かれたものであると言うことだ。
だが、それに対抗するのは高専を中心とした呪術師達。
この日のためだけに、日本全国から術師をかき集めた、総力戦。こちら側の勝率は八割強あるとみていいだろう。
だからこそ、この百鬼夜行の主犯である、夏油傑をよく知っている五条悟には疑問が生じていた。
あいつは聡い。負け戦を持ち込んでくるほど、愚かな人間では無い。
思考を、巡らせる。
「五条さん!!」
そんな彼に、息を切らして呼びかける、伊地知。
「どうした？」
「以前五条さんに頼まれた乙骨憂太の家系調査の件ですが________」
そして紡がれる、驚きの事実。
_____まさか、アイツ。祈本里香を手駒にする気か！
傑が祈本里香の力を真に解放すれば、それこそ東京一帯に被害が及ぶ。そしてもちろん、こちらの負けだ。
「____させるかよ」
低く、呟く。物語の舞台は、高専へと移る。
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おるた(プロフ) - えとさん» 感想サンキューソーマッチです!!そうなんですよ……私も傑最推しなので……………最後まで読んで頂き、ありがとうございました！ (2021年3月31日 17時) (
レス) id: f5b2ddd409 (このIDを非表示/違反報告)
えと(プロフ) - 完結おめでとうございます!!!傑推しなのでこの作品に出会えて良かったです!!!推しが報われて本当に良かったなって思いました...！素敵な作品ありがとうございました！ (2021年3月31日 16時) (レス) id: fd1beeb0fc (このIDを非表示/違反報告)
おるた(プロフ) - 終夜さん» 感想ありがとうございます(((o(*ﾟ▽ﾟ*)o)))めっっちゃ嬉しいです………ニヤニヤが止まらないです笑笑 (2021年3月30日 19時) (レス) id: f5b2ddd409 (このIDを非表示/違反報告)
終夜(プロフ) - アッ誤字ってしまった…。（）友人にも布教させてください… (2021年3月30日 18時) (レス) id: be63cd896a (このIDを非表示/違反報告)
終夜(プロフ) - 完結おめでとうございます…。本誌の夏油傑が報われなさすぎて絶望しかなかったけど、こんな素晴らしい小説に出会わせてくれてありがとうございます…！推しが報われない→夢主投下。天才が此処にいた。年末の映画までリピート読まさせて頂きます…！！ (2021年3月30日 18時) (レス) id: be63cd896a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おるた x他1人 | 作成日時：2021年3月25日 20時
