後悔 ページ13
「_________っ!」
何を言ったらいいか分からないまま、彼女を強く抱きしめる。
「________ごめん。」
ぽろりと出たのは、またもや謝罪の言葉。
「君から、逃げようとした。
______君が、怖かったんだ」
「_____どうして?」
美しい緑翠色の瞳に涙をたくさん貯めながら、問うA。
その目のあまりの真摯さに、自然と本音がこぼれ落ちた。
「Aといると、Aのことしか考えられなくなってしまう。
____そんな時が幸せだ。幸せすぎるんだ。
だから、たまに思ってしまう」
ふと、我にかえったときに、生ずる疑問。
「私は、幸せになっていい人間なのだろうか、と。」
「そんな……!!」
何か私に言おうとしてくれる、A。だがそれを優しくAの口を手のひらで遮った。
「私は君の知っている通り、多くの犠牲を払って、目的を押し進めている。
___私は、別に犠牲に対し罪悪感を感じてはいない。必要不可欠なものだと割り切っている。
でも、それでも、踏みにいじったことには変わりがない。覆る事なき事実だ。
私だけが幸せになるのは、それらに対して、あまりに不誠実なことだ。
そんなのは_______猿と同じだ」
*****
今まで、知らなかった夏油傑の本音。
絶句する。
これ程までに、この人は重いものを背負って生きていたのか。
それはとても、人1人に背負いきれる量の荷物ではない。
人間の生き方から、あまりにも逸脱してしまっている。
_____でも、否定できない。
彼の覚悟を、真っ向から拒絶する。
そんなの、無理だ。
無理だけど________。
どうか、神様。彼に救いを。彼に、勝利への道を用意してあげてください。
「___傑。愛してる」
熱い、熱いキスをする。
強ばっていた傑の薄い唇は、次第に私を受け入れてくれた。ねっとりと、舌が絡む。
互いが互いを堪能して、ゆっくりと唇が離れた。
僅かな息苦しさ。
まだ口の中に残る、傑の体温に、ゾクゾクと体が火照る。
「A。今日は、全力で君を愛す。
そして明日____いや、きっと、明日じゃ終わらないな。
全部、全て終わったら、必ずまた君を迎えに行く。
その時まで、待ってて欲しいんだ」
「_____うん。待ってる。約束、だからね」
それから先のことに、言葉は要らなかった。
はらりと、体に巻いていたバスタオルが落ちた。
****
夏油は疲れ、すぐ眠ってしまったAの横で、1人静かに涙を流す。
「…君を、好きにならなければ良かった」
それは、愛の告白だ。この瞬間、夏油傑はこの世界で誰よりも_____全力で人を、愛していた。
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おるた(プロフ) - えとさん» 感想サンキューソーマッチです!!そうなんですよ……私も傑最推しなので……………最後まで読んで頂き、ありがとうございました! (2021年3月31日 17時) (レス) id: f5b2ddd409 (このIDを非表示/違反報告)
えと(プロフ) - 完結おめでとうございます!!!傑推しなのでこの作品に出会えて良かったです!!!推しが報われて本当に良かったなって思いました...!素敵な作品ありがとうございました! (2021年3月31日 16時) (レス) id: fd1beeb0fc (このIDを非表示/違反報告)
おるた(プロフ) - 終夜さん» 感想ありがとうございます(((o(*゚▽゚*)o)))めっっちゃ嬉しいです………ニヤニヤが止まらないです笑笑 (2021年3月30日 19時) (レス) id: f5b2ddd409 (このIDを非表示/違反報告)
終夜(プロフ) - アッ誤字ってしまった…。()友人にも布教させてください… (2021年3月30日 18時) (レス) id: be63cd896a (このIDを非表示/違反報告)
終夜(プロフ) - 完結おめでとうございます…。本誌の夏油傑が報われなさすぎて絶望しかなかったけど、こんな素晴らしい小説に出会わせてくれてありがとうございます…!推しが報われない→夢主投下。天才が此処にいた。年末の映画までリピート読まさせて頂きます…!! (2021年3月30日 18時) (レス) id: be63cd896a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おるた x他1人 | 作成日時:2021年3月25日 20時