角の部屋 ページ19
・
・
・
「ねえ、ひとつ聞いてもいい？」
寮へ帰る途中の道で私は尋ねた。
「何故、私をお世話係に？」と。
別に誰がやってもいいし、
彼ほどの実力ならお世話係なんて正直要らない。
カイはこちらを見てからふと微笑んだ。
初めて見た、カイの優しい顔。
・
KA「ルナって人が嫌だったから。」
「え、ルナ？」
ルナの事が嫌な男性なんているのか。
あんなに綺麗で魅力的な人なのに。
納得いかない私を見てカイは付け加えた。
・
KA「色々聞きたかったんですよ、あんたに。」
「おい、私は先輩だぞ。名前で呼べ。」
KA「A、」
「違うわ！！！先輩付けろ！！！」
バコっと頭を殴るとすぐに拗ねるカイ。
あらら、やりすぎちゃったかな。
・
カイ、ありがとう。
本当はジョンインの事聞きたいよね。
それでも聞かないでいてくれるところ、
少しだけ優しいと思ったよ。
KA「先輩は何階ですか？寮。」
「私？私は14階だよ。」
KA「じゃあ俺と一緒だ。」
「あ、あの空いてた部屋に入ったのか。
結構あそこからの眺めいいよね〜」
うんうんと頷くカイ。
角の部屋だし、かなり羨ましいな。
・
エレベーターの動く音が響く。
はあ、今日も疲れた。
隣で大きな欠伸をするカイ。
若いのにこんなに仕事が出来て羨ましい。
KA「じゃあ、おやすみなさい。」
「うん、おやすみ〜」
エレベーターから一番近い所にある部屋。
それがカイの部屋だ。
挨拶をしてもなかなか入らないカイ。
首を傾げると、顎で後ろを指すカイ。
・
ふと後ろを見ると、
ベクが私の部屋の前からこちらを見つめていた。
・
・
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 188人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：おてむ
| 作成日時：2018年1月3日 19時
