さ よ な ら 、世界。

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『…………だって、こんな私なんか…必要とされないよ…』





色の見えない。



光がわからない。




視野が狭い。





何も出来ないカメラマン。






そんな私は、カメラマンなんて言えない。







『……本当は、東海オンエアにだって、必要とされないと思ってた』






「自分の居場所」を作るのに必死だった。






『カメラしか取り柄がないのに、そのカメラが使えなくて、

何で自分がここにいるのか分からなくて、

必要とされたくて、編集覚えて…』








苦しかった。



見えない自分。




何も出来ない自分。




いつ、としみつくんから お前必要ないよ、と言われるのか震えながら今までいた。




だからこそ、目の事もずっと隠してた。









『このまま目が見えなくなったら、私…』





そう考えたら自然と我慢して涙が溢れてきて、ぽろぽろと零れた。


涙は必然的に真下で見上げてるとしみつくんに落ちて彼の頬を濡らす。






「泣かんで…？」








『私、いつまでとしみつくんの隣にいられる？』









拭い切れないこの先への不安。

いつ目の前が真っ暗になって取り残されるか分からない。

いつ一人ぼっちになるのか分からない。




「泣かんで…」


そう言われても、止められなくて。

ぐしぐしと手の甲で擦っていたらその手首を握りしめられ止められた。





『としみ…』






もう片方の手が私の頭に伸びてきてそのままそっと首筋を優しく掴まれた。





気が付けば、ゆっくりと抑えられた手首と後頭部を引き寄せられて。



逆さまに写ったままのとしみつくんの顔が近付いてきて。






優しいキスをされる。







呆気に取られていると、離れたとしみつくんの顔は優しい表情をしていて。








「今の瞬間の光景、忘れんで」









そう言って私の腕を引いて私をベッドから下ろしてとしみつくんと向かい合うようにとしみつくんの膝の上に座らせる。









「俺にとってAは何があっても必要な存在だから。





ずっとずっと隣におってよ」








涙で前が見えない。


ずっとずっと、


貴方のその顔を


表情を


この瞬間を





忘れたくない。









「俺の隣が、Aの居場所だから」




そう言ってまた私の顎に手をかけてそっと引き寄せた。









またゆっくり触れる唇の温もりを




この瞬間を




私は一生忘れない。









何があっても。

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