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この日から私は鈴木くんの「専属カメラマン」になった。
専属カメラマンなんてカッコイイこと言ってるけど、ただ本人から これからも撮っていいげ! と許可を得ただけ。
朝と放課後、彼の練習と共に私の写真部としての活動も始まる。
彼の一瞬でも逃したくなかった。
気が付けば夢中になって撮っていて、私のSDは彼でいっぱいになった。
そして、私が撮った写真を鈴木くんに見せては褒められる。
そんな毎日を送ってた。
好きこそ物の上手なれ、という言葉がある。
最初はただの趣味だったのに、気が付けば趣味は大きく膨らんでいて。
鈴木くんの勧めで出したコンクールにも入賞。
勿論、その写真は鈴木くんを撮った写真。
結果が来た時、1番に伝えたのは鈴木くんだった。
「お前!やったじゃねーか!!!」
と一緒に喜んでくれた。
それが嬉しくて嬉しくて。
趣味は趣味で終わらずに、いつの間にか私は写真で生活出来るようになっていた。
としみつくんは「お前の才能を見つけたのは俺だかんな!」といつも言っていたけど、本当にそうだよ、貴方のおかげ。
そしてとしみつくんに言われるがまま、連れてこられた「東海オンエア」というグループ。
私は写真家として働く一方で、東海オンエアの撮影の協力もしていた。
宣材写真や雑誌の撮影も私が担当してる。
仕事も私生活も共に充実している…
はずだった。
「ねぇーAー。カメラの調子可笑しいーちょっと見に来てー」
そう気怠い声で私を呼ぶのはてつやくん。
何を隠そう、この東海オンエアの(形ばかりの)リーダーである。
『うん、ちょっと待ってて』
撮影部屋にいくとてつやがガチャガチャとカメラを弄り、そのカメラの、テーブルを挟んで向こう側にはとしみつくん、りょうくん、しばたくんが座っている。
ああ、そんなふうにカメラ弄ったら壊れるよ…
私は慌てててつやくんからカメラを受け取った。
カチカチと弄ると設定がいつもと違うようだ。
普段の撮影と変わらない設定に戻してつやくんに手渡す。
『これで大丈夫だと思うよ』
「お、さんきゅーA助かったわ」
「てつやさぁ、そろそろAちゃんからちゃんとカメラ教えてもらえば?」
「うるせーりょう!何ならお前が教えてもらえ!」
口を開けばすぐこれだ。
私はライトの光量や位置もチェックしておく。
うん、問題ないみたい。
すると後ろから声が掛かる。
「A撮影するから、邪魔」
としみつくんだ。
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夜宵(プロフ) - 最後のお話、すごく考えさせられました 確かになぁと納得する反面なんだか寂しくて恐ろしくてゾッとしました このような視点からのお話も新鮮でとても良かったです 次回も楽しみにしています! (2020年6月14日 19時) (レス) id: af02700ee8 (このIDを非表示/違反報告)
Mrs.ぱんぷきん(プロフ) - 切ない!!!!!そして次回予告がオレンジさん!!!!!!!!!!楽しみです!!!!! (2020年6月14日 17時) (レス) id: 534e341e06 (このIDを非表示/違反報告)
すもも(プロフ) - 何回読んでも好きな作品なので新しく更新されてて嬉しいです^ ^!本当に面白かったです!これからも頑張ってください! (2020年6月14日 10時) (レス) id: e3e9a8bac6 (このIDを非表示/違反報告)
ray - 色覚異常って男性にしか起こらないからちょっとモヤモヤ…笑 (2019年10月19日 20時) (レス) id: 3d88fa54c6 (このIDを非表示/違反報告)
ヨウ(プロフ) - *vanilla*さん» コメントありがとうございます。お話の中に入り込んで頂き、そこまで読み込んで頂けて作品を書いた身としてもとても嬉しいです。本当にありがとうございます。 (2019年2月13日 18時) (レス) id: 91827dbe31 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ヨウ | 作成日時:2019年1月3日 17時