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「A、ちょっと来い」


次の日の昼。
部長に呼び出された。
え、私、なんかした?


恐る恐る部長のデスクに近付くと、手には先日残って急いで仕上げた書類。


「こことここ、間違ってる!今日先方に渡す書類だぞ!?」
『す、すいません!』


またやっちゃった、またやっちゃった、またやっちゃった…
頭を下げながら頭の中はぐるぐるそんな言葉が巡る。
なんで私こんなことも出来ないんだろう…
泣きそうになって、ぎゅっと目をつぶった。

その時、すっと隣に誰かが立つ気配がした。
横目でちらりと見ると、そこには先輩が同じように頭を下げていた。
びっくりして目を見開く。


「申し訳ありません。僕がキチッと確認したつもりが、出来てませんでした。僕の責任でもあります。申し訳ありません」

そう言って、また頭を下げる先輩。
私もまた申し訳ありません、と頭を下げた。


「……先方が来るまであと2時間ないぞ。直せるのか?」
「僕とAで、責任持って直します」
「…頼んだぞ」


部長にそう言われて書類を手渡される。
急いでデスクに戻り、訂正作業に入った。


「A、いけるよな?」


そう真剣に見つめてくれる先輩は、私のことを信じてくれてる。
そんな視線だ。


『はい!もちろんです』


先輩の期待を、裏切りたくない。






そのあとはがむしゃらだった。
先輩と阿吽の呼吸で訂正箇所を直していき、先方が来る10分前に書類を仕上げ、部長に提出した。
なんとか間に合った。



お互い休憩も取らずに作業をしていたので、給湯室で軽く休憩をする。


『先輩、すいませんでした』
「……何が?」
『え?あの、書類の件…』
「僕がちゃんと目を通さなかったのが悪いんだし、僕の責任でもある」
『……でも』
「それに、


自分の後輩守るのも、先輩の仕事だからね」



そういった先輩がいつになくかっこよく見えた。





「Aは、俺の後輩でしょ?だから、Aのこと守るのも、僕の役目」




ま、躾は厳しくするけどね。
なんて笑う先輩。



私はそんな先輩に肩並べられるようになりたいって、この時から思ってたんですよ。






ね、先輩。

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ヨウ(プロフ) - ななみさん» そう言っていただけて良かったですー!また続編の方にも遊びに来ていただけると嬉しいです! (2019年6月25日 0時) (レス) id: 523a836345 (このIDを非表示/違反報告)
ななみ(プロフ) - キュンキュンしちゃいました〜!すっごく読みやすい文章で大好きです!ありがとうございます! (2019年6月20日 22時) (レス) id: d77610da69 (このIDを非表示/違反報告)
ヨウ(プロフ) - なぁさん» いつもありがとうございます!中村先輩、まだキャラがブレブレで申し訳ないです…続編頑張りますね! (2019年6月20日 21時) (レス) id: 523a836345 (このIDを非表示/違反報告)
ヨウ(プロフ) - ななみさん» ありがとうございます!寛太先生続編書かせていただきました!期待に添えたものではなかったら申し訳ありません…また遊びに来ていただけると嬉しいです! (2019年6月20日 21時) (レス) id: 523a836345 (このIDを非表示/違反報告)
ヨウ(プロフ) - Mrs.ぱんぷきんさん» リクエストにお答え出来るようなお話書けるか分かりませんが…はたらくおにいさん。の橙くんはツンツンキャラが多かったので頑張ってみますね! (2019年6月20日 21時) (レス) id: 523a836345 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ヨウ | 作成日時:2019年4月21日 1時

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