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じゃ、後はよろしくーなんて場を荒らしたマホトさんはそのままどこかへ行ってしまった…(多分、カットとかの準備するんだと思うけど)
ちらりと鏡越しに富永さんを見ると視線に気付いたのか鏡の中でバッチリ目が合ってしまった。
ぽりぽり、と頬をかくと私の座っていた椅子のストッパーをガチャン、と外すとくるりとシャワー台の方へ向けてくれた。
「取り敢えず、シャワーするんで、移動してもらっていいすか?」
『あ、はい』
言われるがまま移動し、そのままシャワー台の前の椅子に座るとゆっくりと傾けられる。
そのあと、顔にタオルを掛けられた視界は真っ白になった。
頭上ではシャワーが流れる音がする。
「お湯、掛けますね」
その声を合図にゆっくりと髪の毛を濡らしていく。
粗方髪を濡らすと今度はシャンプーのボトルをポンプする音が聞こえた。
ゆっくりとした手つきで髪を洗っていく。
マホトさんとは違う、無骨な手だけれど見た目とは全く違う優しい手つきだ。
「Aさん、いつからマホトさんと知り合いなんですか?」
『マホトさんが前の店舗にいた時から。そのまま自分の店出すって聞いて、私が付いてきちゃった感じです』
「…そうなんすね」
『富永さん、お幾つなんですか?』
「今25っす」
『え!?同い年だ!!』
「え、マジっすか?」
お互い同い年だと知りテンションが上がる。
それがきっかけで会話は弾み、先程までの気まずさは無くなっていた。
シャンプーとトリートメントが終わると、ゆっくりと頭をタオルで拭かれる。
「お疲れ様です」
そう言って椅子を起き上がらせる富永さん。
そしてグッドタイミングでマホトさんが声を掛けてくれた。
「おー終わったー?Aここ座ってー」
『あ、はい』
マホトさんが準備してくれた鏡の前に座り、少しだけ相談して5cm程全体的に切ることにした。
ゆっくりと髪をクシで梳かし、ダッカールで止め、少しずつ切っていく。
「A、トミーとめちゃくちゃ仲良くなってんじゃん」
『ん?トミー?』
「富永のあだ名!」
『あ、そうなんだ…同い年って聞いてテンション上がっちゃいました!』
そう言ってにこにこ笑うとマホトさんがじどーっとした視線を鏡越しに送ってくる。
「おいー、担当俺からトミーに変えるとかやめてくれよ?」
『え?』
「やめてくださいよ、先輩怖くて常連さん取れるわけないじゃないですか」
ちょうど次のパーマをする準備をしていた富永さんが口を挟む。
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ヨウ(プロフ) - ななみさん» そう言っていただけて良かったですー!また続編の方にも遊びに来ていただけると嬉しいです! (2019年6月25日 0時) (レス) id: 523a836345 (このIDを非表示/違反報告)
ななみ(プロフ) - キュンキュンしちゃいました〜!すっごく読みやすい文章で大好きです!ありがとうございます! (2019年6月20日 22時) (レス) id: d77610da69 (このIDを非表示/違反報告)
ヨウ(プロフ) - なぁさん» いつもありがとうございます!中村先輩、まだキャラがブレブレで申し訳ないです…続編頑張りますね! (2019年6月20日 21時) (レス) id: 523a836345 (このIDを非表示/違反報告)
ヨウ(プロフ) - ななみさん» ありがとうございます!寛太先生続編書かせていただきました!期待に添えたものではなかったら申し訳ありません…また遊びに来ていただけると嬉しいです! (2019年6月20日 21時) (レス) id: 523a836345 (このIDを非表示/違反報告)
ヨウ(プロフ) - Mrs.ぱんぷきんさん» リクエストにお答え出来るようなお話書けるか分かりませんが…はたらくおにいさん。の橙くんはツンツンキャラが多かったので頑張ってみますね! (2019年6月20日 21時) (レス) id: 523a836345 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ヨウ | 作成日時:2019年4月21日 1時