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沢山の人が行き交う名古屋なのに、その2人だけが浮き上がるように目に入ってきて、他の風景がモノクロに映る。
仲良さげに話をしている2人。
彼の隣にいる人は、誰から見ても美人な人。
私とは、真反対の人。
二人とも楽しそうで、彼が愛おしそうに見るその目は見たことない優しいさを含んでいて、思わず下唇を噛み締めた。
「Aちゃん？」
『え、あ…』
「どうかした？」
てつやに声を掛けられて一瞬目を離すと、もうその2人は名古屋の雑踏の中に紛れていて。
『なんでも、ない』
先程2人がいた場所を見つめるしかできなかった。
送ってくれる間ずっと話しかけてくれるてつや。
私はそれにただ頷くしかできなくて、いつもの私のような相槌は打てなかった。
2人で駅の改札を通り抜けて駅のホームの1番端っこの人も殆ど居ないベンチに2人で座る。
流石にこの1月終わりの夜は寒くて、自分の手のひらを包んで温めていると、ふとてつやがその手を包んでくれた。
「うわ、めっちゃ冷た！もしかして冷え性？」
『女の子は割と冷え性な子多いよ』
「じゃあ俺があっためてやる！」
そう言って優しく摩ってくれたてつや。
ぽつりぽつりと他愛もない話をして、そろそろ電車がホームに入ってくるその時だった。
ふと、口を噤んだてつや。
先程まであんなに口を開いていたのに突然静かになって、何事かと思ってそっと顔を覗くと真剣な表情をしていた。
そっと頬を温かい手で優しく包まれて、そっとてつやの顔が近付いてきて、その動きに理解した私はそっと瞼を閉じた。
瞼の裏に蘇る、彼と綺麗な女の人。
なんで邪魔するみたいに思い出してしまうのだろう。
思わず自分の唇に触れる前にビクリと動いてしまうと、静かに離れていくのが分かった。
目を開けると、寂しそうな顔して笑っているてつや。
『あ…』
「ごめん、今のナシな」
そう言って頭を優しく撫でてくれた。
優しすぎる彼に本当に申し訳なくなってしまって、でもそれを口にしたらきっと彼はもっと傷付いてしまうから口を閉じて首を横に振るしか出来なかった。
一緒に乗り込もうとした電車で、私が電車に乗った瞬間パッと離される手。
てつやを見ると、俺この後用事あるから、なんて見え透いた嘘。
でもその表情を見れば分かる。
私がつかせてしまった嘘だ。
わかった、と一言だけ話すと扉が閉まり電車が出発するまで彼は手を振ってくれた。
時間帯も時間帯なだけに、殆ど人がいない車内で、私は静かに涙を零した。
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ヨウ(プロフ) - Ｒｕｒｉ＊さん» 前作に引き続き今作もご愛読ありがとうございます！確かに、てっちゃん置いてけぼりでしたね…その辺も詰めの甘い作品になってしまい申し訳ないです….ありがとうございます！これからも頑張ります！ (2019年2月13日 18時) (
レス) id: 91827dbe31 (このIDを非表示/違反報告)
Ｒｕｒｉ＊ - 「サブリミナル。」の方でもコメントさせて頂きました。てっちゃんがどうなったのか気になってしまいます笑 これからも体調に気をつけて頑張って下さい！ (2019年2月10日 22時) (レス) id: 4d62ef8048 (このIDを非表示/違反報告)
ヨウ(プロフ) - こつぽんさん» ありがとうございます！更新速度は落ちてしまうかもしれませんが、これからも頑張りますのでどうぞ宜しくお願い致します。 (2019年2月10日 15時) (レス) id: 91827dbe31 (このIDを非表示/違反報告)
ヨウ(プロフ) - なーゆさん» 辛すぎました…こまめに保存しておかないとダメですね…！ (2019年2月10日 15時) (レス) id: 91827dbe31 (このIDを非表示/違反報告)
ヨウ(プロフ) - 孤黒さん» 前作からこちらまで読んでいただきありがとうございます！返信遅くなり申し訳ありません。何とか完結させたので読んでいただけると幸いです。 (2019年2月10日 15時) (レス) id: 91827dbe31 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ヨウ
| 作成日時：2019年1月28日 19時
