嘘ツキガール。

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手を引かれて辿り着いた場所はお洒落な雰囲気の個室の居酒屋で、中に入ると店内でも奥の席に通される。

『…すごい…素敵なお店ですね…』
「気に入ってくれたー？」
『とっても！』
「結構行き付けの店でさ、メンバーともたまに飲みに行くんだ」
『そうなんですね。てつやさん目立ちそうですもんね』
「んんー？それどういう意味ー？」
『ふふっ、分かってるくせに』

口元を覆って笑うと、てつやさんは少しほっとした表情を浮かべていて、それが不思議でじっと見つめているとそれに気付いたてつやさんはゆっくり口を開いた。

「いや、なんか悩んでる雰囲気だったから。やっと笑ってくれたと思って」
『あ…』

てつやさん、気にしてくれてたんだ…。
満足そうに笑うとメニューを開いて「何飲む？」と尋ねてくれた。
てつやさんの隣にいるとやっぱり居心地良くて、としみつさんのこともゆっくりと忘れられる気がした。
ただ、この気持ちがまだ恋なのか、それともてつやさんに対しての甘えなのかは分からない。
それでも今こうして一緒にいる時間は本当に楽しくて、少しずつ自分の気持ちに整理をつけていこうと感じた。


Youtuberと言うものを私は実は理解出来ていなくて、てつやさんは丁寧に教えてくれた。
聞けば聞くほど大変なお仕事で、楽しそうに見える画面の裏では色んな苦労や偏見と戦っていることを知った。
世間での認知はまだまだだろうけど、今の社会には必要な存在だろう。


気が付けば3時間くらい絶え間なく話していて、時間も時間なので今日はお開きになった。

「ごめん、俺の話ばっかりで…しかも途中からなんか愚痴聞いてもらっちゃったし」
『私も話聞いてて新鮮だったし、てつやさんの気持ちが少しでも楽になってくれたなら私は全然』
「ありがとう」

お財布を出してお金を払おうとするとてつやさんは苦笑いでさっと私の手を遮って「払わせる訳ないでしょ」と先にカードを出してしまう。

『でも…』
「いいのー俺の愚痴聞いてくれたお礼！女の子ならここは素直に奢られとけ！」
『ありがとうございます…でも、やっぱり申し訳ないな…』
「もー気にせんの！あ、じゃあ、敬語禁止！」
『え？』
「あと呼び捨てで呼んで！」
『いやそんな…！』
「だめー！それでチャラ！」
『うー、わかった…』
「よし！」

そう言って満足そうに笑うてつやくんもとい、てつや。
そのまま2人で駅まで歩いていく途中、見えてしまったのだ。





としみつさんが綺麗な女の人と歩いているのを。

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